第12話
Fairy lover 12
朝陽が昇る景色が好き
オレンジ色の太陽が昨日感じた悲しさも辛さも一緒に空へと連れていってくれる
……そんな気がするから。
でも、優と出会って、その景色は必要なくなった
あなたの笑顔は心の中の錘をなくしてくれる
未來を見ることを拒んでた私に光をくれた
大好きな人に好きって伝えることって
こんなにも幸せなんだ
「優?」
「おはよ」
「…優」
「何?」
「優…真?」
「っんだよ」
「呼んだだけ…フフっ」
「何にやけてんの?
ひょっとして、美空ってさぁ、クックッ」
「何よぉー」
「すっげぇ、エロいかもな」
「もっ、そんなことないよっ、バカ、バシッ」
「いってぇ」
背を向けた彼女を背中から抱きしめた
華奢な身体は腕の中にすっぽりとおさまる
小さな手が遠慮がちに俺の指をキュッと掴む
愛しくて…たまらない
「美空…って、いずれはイギリスに行くの?」
「………たぶん」
「…まっ、いっか、今だってあんま、会えないから、おんなじだな」
「うん」
「ごめん、変なこと聞いた」
「そうだよ 優のばーか」
「バカバカってさっきから」
身体の向きをクルリと変えて上から見おろすと目にいっぱい涙をためてる
「み…く…」
震える唇にキスを落とすと目尻から涙が一筋溢れ落ちた
「私…幸せなの…優に出会えてすごく」
「じゃあ、何で泣くの?」
「怖いの、ずっとこのままいれるか、怖くて怖くて」
身体を起こして隙間がないほどにきつく抱きしめた
「怖くなんか…ない
何も心配することない。
美空は美空の夢を追えばいい」
「ぅん」
彼の目に吸い込まれるように重なる唇がまた、私の身体を溶かしていく
何度も何度も繰り返される深いキスが
"愛してる”って
言葉に
聞こえた
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