第6話

Fairy lover 6



出会った瞬間から…

いや、出会う前から

引き合う力…そんなものがきっとあるのかもしれない


優といる時間が1時間過ぎるごとに1歩ずつ心が近くなっていくような気がしてた


話すごとに、あなたのことがわかる

笑顔を交わすほどに愛しい気持ちが増えていってた



これが恋するってことなの??







「美空、俺、明日は無理だけど明後日なら時間作れると思うから、やりたいこと、考えとけ」


「優、忙しいんでしょ?

それに…無理してない?」


「何を?」


「だって、優って…有名人でしょ?

普通に外歩けないんじゃない?」


「それは、任しとけって。

うまーく、変装すれば意外とわからないもんなんだよ」


「へぇ、そうなんだぁ」




高坂優真…

若手音楽プロデューサー。

数々のヒット曲を生み出し、その実力は国内にとどまらず、海外からの評価も高い。

端正なマスクから、メディアに取り上げられ、女性ファンも多い


テレビや雑誌を見る時間もなかった私は彼のことを全く知らなかった





「じゃ、明日帰れないから明後日な」



頭をポンポンとされた時、胸の奥がビクッとして思わず、退いてしまった


「ん?」


「うううん

明後日楽しみにしてる」


「おっ」



明くる日、

彼は帰って来なかった

私との時間を作る為に仕事をつめたのかな?まさかね、そんな訳ないか




優がいない部屋は色をなくしてしまう


実際、そんなに派手な装飾がされた部屋ではないけれど、

キッチンはオフホワイト、リビングはグリーン、寝室は深いブルー

そして、彼が笑うと朝陽が昇るオレンジ色になる



すべてが色づいて見えてた



彼のいない空間はどこを見てもモノクロにしか見えない




明日彼に会ったら、何を話そう?

どんな服を着て出掛けよう?


そんな当たり前のことを考えながら、ソファで眠ってしまった





「ただいま」


朝方家に帰るとソファで眠る彼女の姿


「っんだよ、風邪ひくだろ

美空?」


スヤスヤと眠る長い睫毛が少し動いたが起きない


俺はなかなか開かない瞼にそっと触れるだけのキスをすると、少し微笑んだように見えた




クタクタになった身体からすーっと疲れを吸いとってくれるような不思議な感覚に

俺はしばらく美空の寝顔を見つめてた





好きになってしまった…のかもな




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