第4話
Fairy lover 4
誰かが誰かの為に頑張ってる
その良し悪しを考えてしまうと
心が折れそうな時がある
けれど、結局、前に進むのは自分の足
俺にはわかってた
抱き上げた小さな身体が震えてたこと…
「ほんとにいても…いい?」
「いいよ」
「だって、私のこと何も知らないでしょ?」
「あんたも、俺のこと知らないでしょ?」
「うん」
「ふっ、俺もまだまだだなぁ」
「え?やっぱり有名な人なの?
私…バレエばっかりで…」
「いやっ、大したことないよ
まだこれからだよ
っで、名前聞いてなかった
俺は高坂優真」
「私は相澤美空(みく)」
「みく…どんな字?」
「美しい空と書くの」
「へぇー、空かぁ」
彼女と出会ったオレンジ色の朝焼けが思い浮かんだ
「あっ、でも~」
「まだ何か?」
「えっと、私…何も持ってない、どうしよ。
朝方、あの公園で踊るのが日課で…
スマホとタオルしか持って出てきてなくて。他は何も。
やっぱり無理だよ」
「別にそれでいいじゃん
服は買ってやるよ」
「どうして、そんなにしてくれるの?」
「どうしてかなぁ?妖精には優しくしないとな」
「妖精??」
「あー、何もないよ」
「お金は必ず返します
少しだけここにいさせてください。
よろしくお願いします」
深々と頭を下げた彼女
「あっ、でもさぁ、
心配する人とかいない?」
「うん、かなり心配する人いる。
急に私がいなくなったら大騒ぎになってママは捜索願いを出しかねない。
そうなったら、あなたに迷惑かかる
だから、ちゃんと連絡しておく」
「連絡しておくってぇ(笑)
飛び出し来たのに?」
「うん。
しばらく帰らないから…って。
そっとしといてくれないと、2度とトウシューズは履かないって言うの。
そう言えば、たぶん、何も言わないよ。
言えないと…思う」
悲しそうな顔で俯いた
「美空…って呼んでもいい?」
「うん」
「美空は学生?」
「学校って??私、もう二十歳だよ」
「はたちぃー?
もっと、若いと思ってた
俺、未成年誘拐になるかと思ったよ」
「色気なくて悪かったわね」
「ハハっ、じゃよろしくな、美空」
「う、うん
高坂…さん」
「優真…ゆうでいいよ」
「ゆう…ま?
優は私より年上でしょ?」
「俺は27」
透き通るような白い肌に長い手足
柔らかい長い髪
化粧もしていないのにほんのりピンク色の艶のある唇
あどけない大きな瞳
ただ、純粋に彼女を救ってやろうと思ってた俺はほんとはちっちゃな妖精に恋心を抱き始めてたのかもしれない
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