第2話
Fairy lover 2
妖精って…
ふっ、俺まだ酔ってんな
でも、何故かその姿から目を離せずに立ち尽くしてた
目に写る光景があまりにも神々しくて、
心が浄化されるようだった
しばらくすると、呆然と見つめる俺に気づいた彼女は慌ててその場を立ち去ろうとした
「あのっ」
「な、なに?」
「バレエやってるの?」
「はい」
「素敵だったよ」
「あ…りがとう」
ピンク色に染まった頬が透き通るような白い肌を際立たせる
瞬く間に朝日の中に消えていった彼女のことが幾日も頭の中から離れることはなかった
そして
1週間後
朝日が昇り始めた頃、再び出会った
彼女はひとしきり踊り終わるとゆっくりと近付いて来て、大きな瞳で凝視する
俺は少し戸惑って声をかけた
「あっ、ごめんね。
今日も…見させてもらったよ」
「……ねぇ、あなた
私をさらってくれない?」
「はぁ?何言ってんの?」
そう言っても動じることはなく、俺はたまらなくなって目をそらした
「…無理だよね?」
大きなため息をついて
背を向けた彼女の手を俺は咄嗟に握ってた
「ど、何処行くの?」
「さらってんだよ、行くぞ」
最初っから、ずかずかと土足で上がってきた強気な妖精が…
いつしか、俺の心の中に住みついてしまうなんて、この時は思いもしていなかった
ただ、瞳の奥がどこか淋しそうで…
引き寄せられるように彼女の小さな手を包んでた
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