第13話 狐族キリコさんの巫女舞(中編)
「日本の神様とは誰のことですかこん?」キリコさんはお父さんに日本の神様について質問しました。
「日本人の神様は簡単に言うと、神道といって自然現象を神様として、森や川や山や海など至る所に神は存在していると言う大昔からの考えなんだ。」
お父さんは平凡な日本人です、特別いつも神様に祈りを捧げている訳ではありませんが、お父さん簡単に日本の神を祭る神道について説明しました。
「今日訪問してくれた◯◯神宮は神話でいう日本という国を、最初に作った『あまてらすおおかみ』『やまとたけるのみこと』などの神様を祀られている、由緒ある神社なんだよ。」
キリコさん自然崇拝で至る所に神は存在するという考えは、元の里の獣人族に伝わる『神に準じる沢山の精霊達が集まって、大森の神と呼ばれている。』と似ている考え方なんだ。おばあちゃんにいつも言われていた事を思い出しました。キリコさんはこの日本という国の神様に親近感を抱きました。
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狐族の6人の少女達、1日1時間程の巫女舞をするのが遊びになりました。TVの再生をチラ見もせず雅楽の曲を聴いて、体の軸をぶらさずに優雅に舞い踊る姿は正に神様の使いそのものです。
お父さんは狐族の両親達や他の獣人族が見守る中、完璧な巫女舞を披露する、少女達を◯◯神宮の舞台で、日本の神様に奉納させたいと思うのです。
何日か後◯◯神宮の事務部長さんから、お父さんに電話が入りました。事務部長さんはこの前会ってくれたお礼と、宮司と雅楽奏者と巫女の仕事に従事している女性に、スマホで撮影したあの日の少女達の巫女舞を見せた所、神秘的な狐族の容姿、完璧な舞に皆んな感激して是非是非舞台で、巫女舞を奉納して貰いたいと願っていますと付け加えました。
お父さんはお土産のき◯め餅の上品な美味しさに、狐族の少女達は夢中で食べましたとお礼をいい、巫女舞を奉納するために、少女達を連れて◯◯神宮まで参りますと約束しました。
事務部長さん大変に喜び『倭 舞 浦安の舞 神楽舞 豊年の舞』の演目で、リハーサルみたいな気楽な舞の日にしたいと言いました。
神宮の特別な催事がない参拝者の少ない、平日に行いたいがどうでしょう?
お父さんも初めての事ですし、お知らせ等を入れて獣人達を観ようと、たくさんの人が押し寄せるのは神様に迷惑をかけるので、ひっそりと行いたいと事務部長さんと細かい打ち合わせを始めました。
TVの前で巫女舞の遊び兼練習中のキリコさんを含めた狐族の少女達、キリコさんには分かります!この部屋の中や周りに精霊魂が大量に集まっているのを。
精霊の神達はこの巫女舞は私たち精霊神に、奉納している舞だという事を知っているのでしょう。精霊魂はうれしいのか少女達の周りをグルグル渦巻いています。
お父さんが練習がひと段落ついた少女達に、◯◯神宮の舞台で神への奉納の巫女舞を踊らせてもらえる事に、なりましたと発表しました。
少女達は日本の神様に舞を披露できる事が叶って、嬉しくて仕方ありません。キリコさんは『日本の神様に私たち獣人達も、仲良く住まわせて貰えるように懸命に舞をしなくてはこん!』キリコさんは心に誓うのでした。
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山の頂上の辺が薄っすらオレンジに染まる頃、早朝大きな車体の観光バスが1台、駐車場に待っています。
1本道をお父さんとコロルさんとベルちゃんと僕とシンジ君、すぐ後ろをキリコさんと少女達とその家族、その家族の付き添いにボランティアの若者が数人付いてきます。柴犬のジローと見送りの何人かの獣人とボランティアの若者達も付いてきます。
新車の大型バスの入り口には、ガイドさんまで付いています。ガイドのおばさん獣人の少女やらその家族のお世話ができるなんて、この仕事続けていてよかったとニコニコなんです。
事務部長さんすごく頑張っているみたいなので、お父さんは喜びました。獣人の皆んなは恐々バスの中に入りここの席がいいんじゃないと、ボランティアの女性に声をかけられ中ほどの席に座りました。
豪華バスなので足元も余裕十分です。「こんな豪華バス今まで乗った事ない!ボランティアの一人の青年が声をあげました。」
ガイドのおばさんは皆んなが落ち着いたのを確認して、運転手に声をかけたのです。ゆっくり動き出した大型バス「遠足を思い出した!」ボランティアの誰かが声をあげます。留守番のジローはワンワンと吠え、見送りの皆んなは笑いながら手を振るのです。
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◯◯神宮までは片道4時間ぐらいかかりますので、お昼ぐらいに到着する予定です。お父さんは前に電話で事務部長さんと食事の相談をしました。神宮の中には社員食堂みたいなところがあるので、お昼はそこで好きな物を食べていただき、夜はひつまぶしの出前を取るつもりですと、お父さんに伝えました。
お父さんは神宮の外で食べようと店に入った時『ペット立ち入り禁止だ!』とか言われて、トラブルになる事を恐れたのです。◯鹿村には夜帰着の予定です。なかなか強行軍だけど獣人達の最初の日本国内移動だから、トラブルの無いようにしなくてはと考えています。
お父さんの心配をよそに、バスの窓から流れる風景に大興奮の狐族の獣人達でした。途中のトイレ休憩ではお父さんやボランティアの若者達も緊張しましたが、周りの人々は狐少女を見ても大騒ぎせず「本当に可愛いね。あれがTVで話題の獣人なのだ!」さすが日本人失礼の無いように、遠くから見ています。
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