第7話 獣人達とボランティアの若者達
ボランティアや獣人の若者達で、休耕地などの整備が終わり、駐車場がだいぶ拡大できました。お知らせが効いたのか、ボランティア希望の若者達の数も徐々に減ってきました。
ただどうしてもモフリたいと、日帰りでいいから使ってくれという隣町の若者達は、率先して村の掃除をかって出て、日本語で意思疎通が出来る獣人の若者達と一緒に、ガタガタ道の穴埋めなど汗をかいています。
猫族はスキンシップが大好きなのか、若い猫族の女の子が意味も無く隣町の男の子の肘に、両手で絡みつきながら「にゃん、にやにやにやーん」とか言って、胸を押し付けています。Tシャツの下に毛皮のブラに包まれた様な四つの小山の感触に、真っ赤になった純朴な若者を翻弄しています。
『皆んな田舎はいやだ!と言って都会に出て行ったけど、おいら残っててよかった!』猫族のお姉さんにハグされた若者は赤い顔をして思うのでした。
猫族のお姉さんと一緒に撮った画像を、都会に出て行った友達に送ったら、半狂乱になった友達からの返信がすごかったです!『会社辞めて田舎に戻りたい。』『休みの日に実家帰るから、僕にもいい子紹介して!』初めて都会に出ていった友達に、優越感をもった瞬間でした。
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犬族の少年が芝犬のジローと、駆けっこの競争をしています。ジローの全力疾走に少年はニコニコしながら並走して、さらにグングンと追い抜いていくのです!見ていた村人やボランティアの若者達は、唖然として「オリンピックなら、金メダル間違いなしやなー」とあきれています。
村の中央にある一本の柿の木。まだ青い柿の実ですがその下に二人の若い獣人が、「ねえパルルこの木にある実を一つ取ってみてわん。」犬族の少女が兎族の少年に頼みました。
「うんクロルいいよだピヨン。」なんの助走もなく兎族の少年は、4メートル位の高さの木に跳躍して、ふわっと枝に飛び移ったのでした。映画やTVでの忍者のワンシーンみたいです。手を伸ばして一つの実を取り、またフワッと着地しました。
パルルとクロルは、仲良く手をつないで青い柿を持って、今度はどこに行こうかと歩いて行きました。
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お父さんは二人の若者田中くんと鈴木君を連れて、監視カメラと取り付け部品を持って、例の洞窟に向かいます。道案内のコロルさんと犬族2人と猫族2人の若者が、護衛について来ます。
護衛の4人はそれぞれ革製の胸当てをして、背中に弓を背負い腰には直刀をさげています。お父さんと田中君と鈴木君は、4人の獣人達のかっこよさに見とれてしまいました。映画アバターの主人公みたいです。
護衛以外のお父さん達は、監視カメラや関連資材を運び、鈴木君は電源コードや光ケーブルが入った丈夫そうなコードを、カラカラと引き出し道脇に施設していきます。
シンジ君はお父さんの部屋で新しく届いた、デスクトップPCを設置して、コードが届いたら、すぐ監視カメラが立ち上がるよう準備しています。
一行は洞窟の前に着きました。コロルさんと4人の護衛は静かに洞窟の中に入り、耳を澄ませ匂いを嗅いで、異常が無いかを確認しました。田中君と鈴木君はお父さんと相談して、洞窟の周りの適切な場所に2台、後の1台は洞窟から村までの道の半分の所に、設置するつもりです。
コロルさんは洞窟の前に立ってみると、いろいろ思う事があり複雑な心境です。2人の護衛は洞窟の入り口に、もう2人の護衛は設置作業しているお父さん達の周りに気を配っています。
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アケミさん達は孤児の世話で大賑わいです。運動量が人間と違うので小さいのに、ピョンと大きく飛び上がったり、アケミさんの背中や腹にしがみついたら、離しません!手足の力が強いのです。狐族のキリコさんも「いたたたた!こんこーン」と苦労しています。
外からキリコさんを呼ぶ声が聞こえます。窓を開けるとキリコさんに似た、男の子が立っています。「キリちゃんありがとうこーん。」キリコさんが声をかけて、バスケット一杯のお菓子を受け取りました。キリコさんの弟が、みんなのおやつを届けてくれたのです。
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キリコさんと同じで真っ白の毛並みに、ルビーのような赤い目、大きく膨らんだ真っ白な尻尾!アケミさんはキリちゃんに恋してしまったのです。アケミさんは八方美人で惚れやすい性格みたいです。
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