第6話 元村長コロルさんやっと落ち着く

 おじいちゃんの家でお風呂を呼ばれたコロルさん、胡座をかいた間にベルちゃんを座らせて、おじいさんとお父さんと僕であちらの世界や、こちらの世界のくだけた話をするのが夜の日課みたいになりました。


 何気ないベルちゃんの「母さん帰ってくるかな?」の一言が、今まで部族の皆んなを守らなくてはと、長い間緊張していた心が緩んだみたいに、コロルさんは長い長い遠吠えみたいな声を上げ始めたのです。


 夜の山間にコロルさんの、悲しげな遠吠えが響きます。『母さんどこにいるの?』ベルちゃんもかすれた遠吠えを、コロルさんと一緒に朗々と歌うのでした。


 森の夜行性の動物達はビクッと震え、その場を我先に山奥へ逃げ出したのです。周りの獣人さん達が寛いでいる家から、返事のように遠吠えが響いてくるのです。芝犬のジローも下手くそな遠吠えをしています。コロルさんは犬族では無く狼族なんじゃ無いかと想いました。


 長い遠吠えを終えたコロルさんは『大変失礼しました。感情が昂ると自然に吠えてしまいますわん。』おじいちゃんとお父さんは「うんうん」と頷いています。


 コロルさんとベルちゃんは隣の部屋に移動して、親子仲良く気持ちのいい布団で夢をみるのでした。


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 アケミさんは夜になると「ママ~どこにいるの~にゃーん。」「母さん母さんさみしいよコン。」泣き出す獣人の孤児を抱きかかえ、泣き止むまであやすのが日課となりました。


 一緒に孤児の面倒をみてくれる狐族のキリコさん、真っ白な毛並みにルビー色をした切れ長の目、シュッとした顎のラインがカッコよくて、ふわっとした太いしっぽが、まるで神様の使いみたいに優雅で神秘的なんです。


 二人の獣人の子供を両手で抱え「ねんねんよーコンコン。」「ねたればー夢の中で母さまと一緒だこーーん。」まるで神様に捧げる舞みたいに、ゆっくり動かしています。」アケミさんはこんな美しい人は見たことないと、キリコさんの大ファンになりました。


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 シンジ君は空き家の雑魚寝の部屋で皆んなが静かに、今日あったことをおしやべりしているのに、ガーガー寝ていて『うるさい。』と枕を顔に被せられています。


 この若いボランティアの人たちは、獣人の難民達との関わりでその後の人生に、どんな影響が出てくるのでしょうか?






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