第2話 今後の予定
コロル村長と僕達とゴローとで、またあの裏山まで行きました。残りの難民に食事を用意してあるから付いてきてと話しました。中から一人の少女(犬顔ですが)飛び出し村長に抱きついたのです。
村長が娘のベルですと紹介してくれました。目がクリクリの可愛い少女です、ちゃんとふさふさの尻尾もぶんぶん振れています。
なんて可愛い子なんだ!心の中で思いましたが、ジローもこれ以上振れない程、尻尾をふり少女に纏わりついています。ベルも初めてみるこちらの犬に驚きもせず、撫ぜまくっています。
皆んなを集会場に案内しましたが、全部で約500人ほどの獣人さん達でしたので、人数が多く集会所に入りきれません。
子供達を優先して集会所で食べさせ、他の人は申し訳ないが外で立ち食いしてもらいました。村人総員でおにぎりや持ち寄った鹿肉や猪肉の調理で大忙しです。
先に食べ終わった獣人の人がおばあちゃん達から、いっぱい食べ物が乗った大皿を受け取り、他の獣人達に食事を回していきます。
お腹の減った皆んなは「うまいにゃー、おいしいうさぴょん!」とか大騒ぎです。ジローもコロルの娘ベルや犬顔の人達に、じゃれつきおこぼれをもらっています。
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おじいちゃんの家でコロルさんと、おじいちゃんとお父さんは、車座になって今後の予定を話し合っています。娘のベルは心配と心細さで、コロル父さんのそばにべったりしています。
コロルさんに元の村での暮らしぶりや、獣人族には犬族・猫族・兎族・狐族など幾つかの部族があり、この地の村のように農耕や狩りなどで、自給自足の生活を部族同士仲良く2000年も暮らしてきた話しを聞き、村を襲った人族に関しては特に細かく聞いています。
お父さんは何か考えがあるみたいで話しだしました。「おそらくコロルさん達の村いや国はこの日本国には存在せず、コロルさん達が避難してきた洞窟が、コロルさん達の国と日本国を結ぶ摩訶不思議な扉なのではないか?」
このまま役所や警察に連絡すると、国が保護という名目の収容所に監禁されてしまうだろう?お父さんの考えは日本中のモフモフ愛好家を味方につけることでした。
「とにかく誰もがあの愛らしい動物顔を見たら、日本中が萌えまくって大騒ぎになると思う。獣人が好きな人をボランテアで集め、日本人の味方を多く集めなくては!」
国が動く前にこの人たちは外国人難民ではなく、日本の山の洞窟から出てきた日本語を喋る立派な日本人であるという、既成事実を作ってしまおうという考えです。
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コロルさんは緊張して収容所に入れられ、奴隷にされてしまうのは、あまりにもひどい扱いだと悲しんでいます。
だけど向こうの世界で差別されてとうとう軍隊を使って、たくさんの同胞を殺された皆んなは嘆き悲しんでいるのに、元の里の人族とは顔の違うこの村の人族は私たちに、食事を与えこれからのわれらの生き方を真剣に考えてくれる。
コロルさんは泣きながら感謝してくれました。ベルちゃんも一緒に泣いています。ベルちゃんのお母さんコロルさんの奥さんは、人族に殺されてしまったそうです。
もし収容所に入れられても生きていけるなら、仕方のないことだわん。とも言ってくれました。お父さんは絶対そんな事はさせないと、コロルさんにこれからの行動を分かりやすく説明し始めました。
獣人達を難民では無くて、日本人であるということを日本国に認めさせ、戸籍を貰い最終的には日本人として同化させて、好きな地方でも外国でも自由に移動できる、権利を獲得することです。
この世界に慣れるまで、過疎化の進んだこの赤鹿村に住んでもらい、元の世界と同じ農業を皆んなでしてもらい、自給自足の生活基盤を築くことがいいと思います。
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おじいちゃんとコロルさんはお父さんの考えに、時々質問をくわえながらうんうんと頷いています。
お父さんはすごく心配な事があります。コロルさん達が通ってきた洞窟からまた避難獣民が現れたり、人族の兵隊が攻めて来たりしたらどうしたらいいのか?
コロルさんは普段往来の無い部族が、まだ残っていそうですと心配顔で話しています。
あと人族の兵隊は大きなトカゲに乗った、騎兵が一番の大敵なのです。ただ洞窟の狭い道では騎兵は通れず歩兵だけが来るならば、獣人族だけでも充分対抗できますと言ってもらいました。
お父さんは洞窟の事は監視カメラを設置するぐらいしか今のところやる事は無いようです。
獣人族500人もの泊まる所を、おじいちゃんとコロルさんが相談し始めました。孤児を含め小さい子供のいる家族は、おじいちゃんの家に泊まってもらい(元庄屋で部屋がいっぱいある大きな家なんです)他の人は過疎化が進んで、空き家がたくさんあるので、少しの掃除で取り敢えず泊まれそうです。
お父さんはこの計画を実行すべく準備にかかります。お父さんは都会での仕事に疲れ、おじいちゃんの後を継ぐため農業をやるつもりなんです。パソコンの前に座り昼間獣人の皆んなを撮影した画像や動画をチェックしています。
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