火の用心

 当時、僕はアパートの一階に住んでいました。

 僕が夜、眠るときに寝室で布団に入ると、いつも聞こえてくる音があります。

 カン、カン、カン、カン

 木の板と木の板を打ち付けたようなその音は毎日、僕が寝静まるまで鳴っています。

 当時、子供だった僕はその音を、うるさいなと思いながらも、それほど気にしていませんでした。


 ある日のことです。

 僕の家に従兄弟が泊まりに来ることになりました。

 昼は一緒にゲームをして、夜は一緒にお風呂に入り、一緒の布団に入りました。

 今日もカン、カン、カン、カン、と良く響く木の音が鳴っています。

「この音、うるさいよねぇ」

 そう従兄弟に尋ねると、従兄弟は訝し気な表情で答えました。

「え? 音なんて鳴ってないよ」


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