ステキな三者面談は後半戦

 源ちゃんズの必死で懸命な演奏が響き、相変わらず月は冴え冴えと煌き、ヴィレッジうぃんたーの夜は更けてゆきます。 


殿ステキな明子さまにお会いできてよかったわ」

 この世にこんなにキレイな方がいらっしゃるのね、と紫子さまは感嘆のため息を漏らされます。


「わたしこそ紫子さまに憧れておりますわ」

 それはわたしのセリフでございます、紫子さまのお美しさはこの世の方とは思えませんわ、と明子さまがおっしゃいます。


 そんなふたりのやりとりを聞いている光る君はご満悦、でございます。

「ふたりが仲良くしてくれて俺も嬉しいよ」

 こぼれんばかりの笑顔の紫子さまでございます。


「そうね、あなたのおかげだわ」

(【超訳】アンタがわたしを置いていった明石でホケホケ遊んだからでしょ)

 明子さまも優雅に相槌を打たれます。

「おっしゃるとおりですわね」

 明子さまは近くにある筆と紙をおとりになります。

~ 言ったでしょ だからわたしは こばんだの

  こんな修羅場を 作ったのは誰~


 光る君はおふたりのに目を細められます。

「じゃあさ、俺のおかげじゃん?」

 まあ、おほほほほほほ、と紫子さまと明子さまは顔を見合わせながら微笑まれます。

「感謝しないといけないわね」

(【超訳】あなたの死ぬほどっていうのはしょっちゅうあることなのよね)

「おっしゃるとおりですわね」

 また明子さまの筆が進みます。

~ 答えたら? 死ぬほど好きは どっちなの

  どっちも好きは 認めないわよ ~


 ほほほほほ。

 ふふふふふ。

 あはは。あはっ、はっ……っっっ。


 三者三様の笑い声が響きます。


 源ちゃんズは楽器を演奏しながら汗が噴き出すようでございます。SKJの3人はこらえている笑いが漏れださないようにお互いに口を押さえ合っております。口だけでいいのに鼻まで押さえてしまい呼吸困難に陥っているようですわね。


「さ、ほら12時になるまでに帰るわよ。明子さま、お邪魔いたしましたわ」

 紫子さまが光る君に帰宅を促します。

「こちらこそ。よくぞお越しくださいましたわ」

 

「光る君、こちらお持ちになってね」

 明子さまは細長く折りたたみひねった薄様紙を光る君にお渡しになります。


「今度はヴィレッジすぷりんぐにもいらしてね。お花見はどう?」

 紫子さまが明子さまにお帰りのご挨拶でございますわね。

「まあ、嬉しい。それでは花子さまもお誘いしませんこと?」

 明子さまも紫子さまのご挨拶に応じられます。光る君は手のひらで口元を覆われます。

「あらステキ。今度は女子会にしない? 光くんがときにね」

 光る君、夏でもないのに汗ばんでいらっしゃいます。


「美味しいものでも食べましょうね。甘介にお願いして珍しいお菓子でも作ってもらおうかしら」

「いいですわね。マカロンとかフォンダンショコラとかわたし食べたことありませんもの」

 紫子さまと明子さまのスイーツトークに光る君の口角のあたりがヒクついております。お帰りのご挨拶だというのにおふたりのお話は盛り上がっているようでございます。

「そ、そろそろ帰ろうか、紫ちゃん。お、おそっくなっても、あああっきちゃんにもメイワク……」

 スイーツトークを切り上げてほしそうな光る君でございますわね。


「お茶会もいいけれど、いっそ飲み会もいいわね」

 パチンと紫子さまが両手を合わされます。その手を明子さまが両手で握り込まれます。

「そうそう! わたしカクテルも飲んだことがありませんの。なんでしたっけ、なにやら、びといーんなんちゃらとかいうカクテルがあるんでしたわね? 光さん?」

 紫子さまと明子さまはしかとお手を握り合っておられます。お互い満面の笑み、でございます。

「そうなのよね。でもびといーんなんちゃらって意味がわからないのよ。教えてくださる? 光くん」

「向学のためにお願いしますわ。光さん」

 お手をとりあったまま、おふたりは光る君をご覧になります。優美なる明子さまと華麗なる紫子さま。そのお美しさといったらこれは光る君でなくとも見惚れてしまいます。恋してしまいそうです。


「なな、なんのことだろう?」

 取り出した懐紙で額の汗を拭われます。


「「どうなさったの? 光くん(光さん)。おかげんが悪いの?」」


 ヴィレッジすぷりんぐへ戻る渡殿でたとう紙で汗をふきふき光る君が紫子さまに尋ねられます。

「俺がいるの、知ってて来たの?」

 ホントに月が綺麗ねぇ、とお扇子で口元をお隠しになられながら紫子さまがおっしゃいます。それはそれは美しい笑顔と共に。


「ホントに恋にはサプライズが必要よね」

 お風邪を召したわけでもございませんのに光る君にぞわぞわと悪寒が走ります。

「そ、そ、そ、そうだろ?」

 うふふふふ、と滑るようにご自分のお屋敷ヴィレッジすぷりんぐへとお渡りになる紫子さま。光る君はその場に張り付けられたかのように立ち止まっておられます。明子さまからいただいたお手紙を袂から取り出されました。


~ 楽しめた? 一度はやりたい 三者面談

  サプライズって ホント必要 ~


 お手紙をくしゃりと握りしめその場に座り込んでしまわれました。今夜の証人、明るい月が光を届けます。深ぁく深く光る君はため息をおつきになられます。


 夜が更けてゆきます。

 月が空をわたります。

 桜は風にたわみます。



 本日もパレス六条平安なり、でございます。



 ♬BGM

 スターウォーズのメインテーマ

 きらきら星協奏曲


 ✨『げんこいっ!』トピックス

 マカロン、フォンダンショコラ、ビトイーンなんちゃら、すべて以前に光る君がプリンセスに贈ったお菓子やカクテル


 ☆弐の巻 『本日もパレス六条平安なり』

 その一 Season2 ここから本編? Check it out! fin.


 Next その二 恋絵巻 壁ドンあごクイ ときめいて 

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