キミの心を溶かしてみせる withエルサ
今日もお越し下さりありがとうございます。あ、いえね、おやつのフォンダンショコラをいただいておりましたの。ほほほ。失礼いたしました。ご一緒にいかが? お紅茶もご用意いたしますわね。オレンジペコーなんてどうかしら。さて、平安イケメン光る君のお話ですわよね。
藤子さまに親御さまが決めたご結婚がありましたように、光る君にもご縁談がございました。光る君が成人式を迎えるのと同時にご結婚あそばされました。
左大臣のお姫さまで葵子さまと申されます。誰が見ても美人と認めるお美しさでございます。和歌などの女性としての教養も完璧にそなえていらっしゃいます。その気高さは池で優美に咲いている睡蓮の花のようでございます。気軽に手折れない近づきがたさもそう思わせます。
世にも許されたご夫婦だというのにお互いが打ち解けていらっしゃいません。
光る君はいまだに藤子さまのことを想っていらっしゃいます。
葵子さまは
けれども光る君のお父様である
光る君より年上だというのも気にしていらっしゃるようです。
お心を閉じていらっしゃいます。
左大臣家のご自慢のお庭に雪が積もります。葵子さまの分身のような睡蓮の花を咲かせていた池にも薄く氷が張っております。あまりの寒さのためでしょう、
フォンダンショコラ、いかがかしら? お口に合いました? 冬と言えばあのイベント、あのイベントと言えばチョコですものね。
女性として誰もが羨む美貌と教養を兼ね備えていらっしゃる葵子さまでいらっしゃいましたが、知らずにご成婚してしまったことがございました。
恋を、ご存知なかったのです。
話しかけられても素直に答えられない。
微笑みかけられてもどうしたらいいのかわからない。
夫には他にも通う
葵子さまの態度はますます頑なになっていかれます。
あ、この頃は通い婚と言いまして、夫が妻の家(実家)に通うのが通例でその通う先が複数あることも珍しくないことでございます。いわゆる一夫多妻、でございますわね。葵子さまは光る君のご正室でいらっしゃいます。
「親の決めた結婚ですからあなたのお気持ちはわたくしにはありませんわ」
「どうぞ他所の愛人のところにおでかけになってくださいませ」
「愛人の作法などわたくしは存じ上げませんから」
そんな意地を張る葵子さまに光る君のお心も離れていくようでございました。
葵子さまは葵子さまで、まるでご自身で造られた氷のお城に閉じこもっていらっしゃるかのようでございます。
〜 何がそんな 気にいらねぇの 俺だって
まあまあイケてる ハズなんだけど 〜
お指のケガを女房(女中のことです。奥様ではありません)に手当してもらいながら、首をひねる光る君でいらっしゃいます。その女房に対してもウィンクすることをもちろんお忘れになりません。
んま、吹き矢でございますわよ。近くの柱にささります。命の危機を感じた女房はこけつまろびつ退出していきます。
「子供が遊んでんのかー? 気をつけろよーー」
吹き矢が飛んでくる原因にさっぱりお心当たりがない光る君は肩をすくめてから、今夜お出かけになる
それにしてもどの女性に対しても気配り、
ですから非の打ちどころのない美女の葵子さまに対しても心が動かないわけはございません。本当は葵子さまに振り向いて欲しいのでございます。
しかもここまで冷たくあしらわれると光る君の征服欲もムクムクと湧きあがってくるのでございます。
しんしんと白雪が降って参ります。舞い落ちる白い花びらはこのまま積もるのでしょうか。それとも淡雪のように溶けていくのでございましょうか。光る君の想いは報われるのでしょうか。葵子さまのお心に春風が吹くことはあるのでしょうか。
(なんて美しい横顔なんだ)
(どうして俺の気持ちを受け入れてくれないんだ)
(俺がキミの心を溶かしてみせる)
頑なな葵子さまをご覧になりながら光る君はそう想われます。
「あのさ、コレ食べない? フォンダンショコラって言って中身のチョコがとろけるんだよ。チョコって食べた事ない? あ……」
葵子さまはお席を外されるようでございます。チョコにご興味は……ございませんわね。
ひとりフォンダンショコラを召し上がる光る君。
そしてきっとこんな風に想われていらっしゃいます。
死ぬほど
♬BGM
Let It Go (アナと雪の女王より)
雪の音 GreeeeN
✨『げんこいっ!』トピックス
フォンダンショコラは藤子が残していったチョコを光る君の
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