第6話(前編)


俺は家に着くとすぐさまあの女の子から貸してもらった本をひらいた。これからはその本の中での物語である。


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ある山に囲まれた秘境に小さな村がありました。そこにはたいそう仲の良い少年と少女がいました。その少年には一人の男の友達が、少女には二人の女の友達がいました。みんなただ一つのきまりを守ること以外には何一つ不自由な思いをしていませんでした。それは…

『村の外に出ること』

これは村のこどもたちにとって守らなくてはならないきまりでした。しかし、おとなたちは村の中と外を行き来しています。それはこどもたちの好奇心を大きく刺激していました。そこで少年は友達とともに村の外に出るための作戦を立てました。

村の外にでるには門を通るほかありません。しかし、村の門は人の目につきやすく、すぐに見つかってしまいます。そこで、少年はある策を考え出しました。それは、とても残酷であり、しあわないと成し得ないことでした。それは…

『囮をつくること』でした。

誰かが注意をひきつけ、そのうちに外に出る。つまり、誰か一人は出ることができないということを意味していました。しかし、小さな少年にはこれが最善の策のように思えたのです。誰が囮になるかはくじ引きで決められました。そして囮となったのは…

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