　もし確認する術があるなら、それは魔王の表情から察する事くらい。

　それでその肝心の魔王様はと言えば。

「きっとアンタが想像している通りだよ。オレは此の世界に牙剥く事も、人間の天敵になる事も、なんとも思っちゃいない。アンタの眷属になって、アンタを守るよ」

　笑っていたから。

　それも、楽しそうに。まるで子供が浮べるみたいに無邪気に笑っていたから。ああ失敗したんだろうなぁ、なんて少し落胆する。

　路肩で蹲って、糾弾される生活を送っていたって。

　此の人の前では些細なプライドなんてあまり意味を成さなくなって。

　其れでも最初くらい、格好付けたいななんて思う、歳相応の気持ちはオレにだって残っていたらしいから。

　とは言え、オレは自分で思っている以上に単純でもあったらしい。

　オレの手を少しだけ強く握って、彼は言う。笑って。

「これからよろしくな」

　其れだけで先程の失敗なんて、もう、どうでも良くなってしまったんだから。

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