Ⅲ.与えられた選択肢

 やけに整った顔をしている。

 オレは散々「魔のモノを思わせる程顔が整っている」と言われていた。そんな自分の顔を、整っていないなんて言うつもりはない。

 うぬぼれでも、なんでもなく、事実としてオレの顔は整っている。オレが今、こんな生活をしている原因の1つだって事を考えると、良いのか悪いのか分からないけど。

 だけど此の青年と比べてしまうと、整っていないとまでは言わなくても、“人間の範囲で整っている”程度なんじゃないだろうかと思えた。


 彼が纏っている不思議な威圧感も含めて、青年の顔立ちは正に、“魔のモノを思わせる程”端整な顔立ちだ。

 そこに第3の目も、悪魔を思わせる蝙蝠羽根も、屍人特有の透けて見える骨もないけれど。


 本当に人間なのかな。


 紛れも無い人型をしている。

 人間の言葉で話し、人間の言葉を理解している。だけど唐突にオレの脳内には、そんな疑問が浮かび上がって、居座った。

 だけどもし、青年が本当に人間じゃなかったところで、どうしようとは思っていない。


 本当に魔のモノだったとしても、ただ顔が整い過ぎて威圧感も凄いだけの人間だったとしても、態度を変える理由にはならない。

 ただただ純粋な好奇心だ。


 そして好奇心と言えば、もう1つ気になる事がある。

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