生きた人間を仕入れて、記憶と能力を抜き取り、顧客の都合に合わせた「存在意義」と能力をインストールして出荷する。そんな「セミオーダー人材店」で、主人公の豊永祐介は、好みの女性に「僕の恋人」という存在意義をインストールして購入する。そして、彼女との甘い生活が始まるのだが……。
淡々として、少しユーモラスでもある文章の中に、そこはかとなく漂う破綻の予感。
セミオーダー人材店という奇妙な商売。それにいつの間にか馴染んでいけるのは、奇妙な世界の中できちんと整合性が取れているから、また、主人公の思考の流れが自然だ(そういうものと遭遇したとき、当然持つはずの疑問を主人公も持ち、それが上手く解消されていく)からではないかと感じます。
読み始めると「どうなるんだろう?」と続きが気になって仕方がなくなる小説です。
一気読みできる文章量である今のうちにぜひどうぞ!