14
14
「はーー、すまんな。もう働けん。」
「おしっこ、どうなってます?没頭してないと……」
「毛布まくってみてくれ。管がな、俺の大切な、といっても、全然、活躍しなかったんだが……、大切なアレん中に、管が入っててな、で、そいつが、ベッドの下の袋と繋がってるんだわ。だから垂れ流しでも大丈夫、ってわけ。お前、律儀に、毎日リング磨きに来てくれるけど、ほんと、もういいぞ。この老いさらばえた体じゃ、どんなに中毒状態になっても、大して関係ない。その上、抗ガン剤と痛み止めの点滴してるから、なにも感じてない。だから、来なくていいぞ。」
「僕、夏休みなんです。だから、ずっと来られます。」
「……そうか。ありがとよ。パパとママはどうなった?」
「連絡とれないので分からないんですけど、たぶんまだ、あと半年くらいは、戻れないんじゃないかと思います。」
「お前も小2で大変だなあ。すまんね、こんな先祖で。」
「いいえ、気にしないで、子孫のために頑張って下さい。」
「頑張って、って、これ以上、どうすりゃいいんだ。」
「分かりません。でも確かなのは、僕たちの生活に、何の変化もないってことです。なんでかなあ。ご先祖さん、本当に頑張りましたよね。」
「ああ、長いようで、短い人生だったが、悔いはない。我ながらよく生きた。お前が来てくれて、本当によかったと思ってる。養子にしたいくらいだ。」
「でも、何で、変わらないんだろ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます