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「やっぱり、同じでした。」
「はん?」
「ご先祖さんより後の皆さん、僕ん家と一緒で、変わりないんです。どう考えても、今のご先祖さんとギャップありすぎです。」
「はん?」
「あの、聞いてますか?」
「はん?」
「はん?って、どうかしたんですか?」
「はん?」
「あれえ、副作用かな。」
「香ちゃわわわんん。」
「ど、どうしたんです。」
「はあああああああああ、別れたわ。」
「な、なんですか?」
「香ちゃわわんと、別れちゃったのよ。」
「なんで、ですか。」
「没頭できないのよね。」
「……」
「香ちゃんと一緒にいても、おしっこ出ちゃうのよ。15分おきにトイレに立つんだわ。ってことは、没頭できてないってことだよな。」
「そう、ですね、そうなります。」
「ってことはだ、俺は香ちゃんを愛してないってことだ。いや、愛してるんだが、没頭するほどには愛してない、ってことだ。あーーーあああ、俺って、ほんと、仕事中毒人間だわ。仕事以外にやりたいことがない。昔は、やりたいことたくさんあったのに。合コンとか、ナンパとか、むにゃむにゃとか・・・」
「また、わけ分からないこと言ってますね。まあ、よかったじゃないですか。子孫のために、もっと働けってことですよ。」
「よかった、って、お前、こういうときには慰めるもんだろ。」
「香さんは、何て言ってました?」
「それがよお、俺も不思議なんだが、あら、そう、じゃね、でお仕舞いだった。もっと、こう、泣かれるかと思ったんだが。やっぱ、愛より仕事をとる男ってのは、持てないのかね。」
「違うんじゃないでしょうか。僕、多分、こうなるの分かってました。」
「なんで?」
「自分で気付きませんか?」
「なに?」
「頭です。」
「頭?」
「はい。薄くなってます。」
「薄く?何じゃそりゃ。お仕置きペンの副作用ってヤツはどうなったんだよ。」
「ですから、副作用なんですよ。お仕置きリングの。」
「ハゲるってことか、リング付けてると。・・・・・・何か、滅茶苦茶腹立ってきた。絶対に外してやる、こんなリング。のたうち回ったって知ったことか!ぜええええったい、外すからな!」
「・・・・・・」
「おい、子孫、どうした?なんで泣いてる。」
「だって、お姉ちゃんが・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「…………そうか、そうだったな。わりい。すまん。俺、どうかしてたわ。
香ちゃんなんて、どうでもいい。お前の姉ちゃんのために、俺頑張るわ。ところで姉ちゃん、美人か?」
「そんなこと、どうでもいいでしょ。」
「まあ、それはそうだが・・・。でもよ、俺たちの付き合いも相当長くなったことだし、もう少し詳しく、わが子孫のことを教えてくれてもいいんじゃないか?」
「まあ、そうですね。じゃ教えますけど、美人です。」
「やっぱ、そうか。さすがわが子孫。おっ、そういえば、お前も、いっちょ前に美人がわかるんだな。」
「だって、『お姉ちゃん美人だから、たくさん前金もらえたのよ。』って言ってましたもん。」
「前金?何じゃそりゃ?」
「わかりません。でも、そう言って、お仕置きリングをくれたんです。」
「そ、そうか・・・・・。なんか聞いちゃいけねえ話っぽいな。それにしても、会ってみたいもんだな、お前の美人の姉ちゃんに。」
「もう、家にはいません。」
「なんでだ?」
「リングをくれた日の次の日に、『お姉ちゃんね、ちょっとお家を留守にするけど、ご先祖さんと一緒にがんばるのよ。』って言って、出かけちゃったんです。」
「出かけたぁ!?
・・・・・・・・、
そうか・・・・・・、
・・・・・・・・・・、
・・・姉ちゃん、名前は、なんて言うんだ。」
「チンチンです。」
「チンチン?!何じゃそりゃ?お前の時代ってのは、女の子にそんな変な名前付けるのか?」
「変かどうか、分かりませんけど、パパは、大岡家に代々伝わる大事な名前だ、って、言ってました。」
「そうか、俺の子孫によっぽどセンスのない奴がいるってことだな。」
「そうなんですか?」
「そうなんですかって、言われても、お前の方が詳しいんじゃないのか?ま、いいや。俺、チンチンちゃんの為にも頑張るわ。」
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