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「部長って、偉いんですか?」
「もちろんだよ、子孫君。詳しーく説明するとだな、大学を卒業して会社にはいると、まず新入社員と呼ばれることになる。ペーペーとも言う。でだな、お茶くみとかコピー取りとか、弁当の買い出しとか、まあ、そんなかるーーいお仕事をやらされる。花見の場所取りってのもあったな。カラオケのマラカス係とか。大抵は一年ほどで済むんだが、小さい会社だと2年とか、5年とかって場合もある。うちは大会社だから、全員1年で卒業だがな。そんで次に、新人2年目で先輩1年目、ってのになる。まあ、早い話が先輩だ。だけどここから熾烈な戦いが始まるってわけよ。いつまでたっても先輩としか呼んでもらえないヤツも、俺の会社にはいっぱいいる。だがな、俺はお前のお仕置きペンのせいで、いや、お陰で、最初から、企画42件なんてことやっちまったし、毎日毎日、仕事持ち帰ってバリバリ働いたから、課長から、課長っても、今の俺の地位よりずうーっと下だがな、その課長にだな、君は見所がある、なんて言われてだね、2年目にはすでに出世レースのトップを走ってたわけなんだよ。でな、」
「あの、この話、あとどの位続くんですか?」
「まだまだ、始まったばかりじゃないか。部長までは、ながーい道のりだ。俺のこれまでの人生のように、な。まあ、じっくり腰を据えて聞けよ。」
「部長補佐からでいいです。そこまでは知ってます。」
「いいじゃないか、少しぐらい、感慨に耽らせろよ。最近、感慨ってヤツに浸りたくってな。それになんか、クドクドしゃべりたいし。これって、なんかの副作用かな?子孫君、君しかいないんだから、ちゃんと聞いてくれよ。」
「はい、リセット完了。じゃ、また来まーす。」
「おい、おーい。喜びを分かち合おうじゃないか、子孫くーん。」
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