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「ご、ご先祖さん。や、やっちゃって下さい!」

「何だ、藪から棒に。」

「ですから、急いで!トモちんさんと、ですね。結婚やっちゃって下さい!」

「なにへんな日本語しゃべってんだよ。この間、仕事に励めって言ったの、お前だぜ。」

「だから、僕の言うことなんか聞かないで、僕の言うこと聞いてください!」

「は?お前、ますます日本語ヘンだぞ。300年後の日本語ってそんななのか?」

「違うんです。ご先祖さんが言ったんです!」

「俺が?そのヘンな日本語を?いつ?そんなこと言ったかな?まあいい。俺はよ、もう友枝さんはきっぱり諦めた。無理だ。愛人に隠し子生ませた、ちょースケベ野郎だって思われちまったんだわ。30過ぎてからのスケベ野郎って噂は、きついぞーー。友枝さんはあれから一言も口きいてくれないし、職場の女子全員、俺のこと白い目で見るし。もう、ダメ。今までのイメージぶっ壊れ。なあ、子孫君、俺、何か悪いことやったか?」

「いいから、やっちゃって下さい。」

「お前さ、さっきから何言ってんだよ。そう言えばさっき、お前帰ったよな?来るの一日間違えてないか?」

「戻ってきたんですよ、未来から!」

「おう、それはよーーーく知ってるぞ。」

「じゃなくて、あのね、ご先祖さんっっっっ」

「あれ?どうした?おい、おーーい。子孫くーーん。」

        


「昨日はどうしたんだね?随分泡食ってたみたいだが。その上急に姿くらまして。俺、お前怒らせるようなこと言ったか。」

「え?何また、わけの分からないこと言ってるんですか?ご先祖さんこそ、何か今日はヘンですよ。僕に言いたいことでもあるんですか?」

「そんならいいんだ。……うん、実を言うとな、最近、そのペン、だめなんだわ。もう何回くらい使った?」

「えーと、ですねえ。3434回。一応カウンターついてるので。」

「ってことはだな、10年近く使ってるっつうわけだ。」

「はい、もうじき一ヶ月になります。」

「ほええーー、俺はもう三十路だっつうに、お前はようやく1ヶ月歳取っただけか。いいなあ、未来は。」

「よくないですよ。まだ、まったく効き目が現れてないんですよ。僕たちの生活に何の変化もないんですから。」

「そんなこと言われてもなあ。でもな、俺、ほんと言うと、ちょっと責任感じてるんだわ。お前の健気な姿見てるとな、なんかやってやんなきゃ、って気になるんだわ。その上、失恋もしたしよ。この際、仕事の出来る男ってとこを全面的に売りにしようかなって、思ってるんだ。そこでだ、お仕置きペンは、もうダメだ。」

「ダメって、どういうことですか。」

「効き目が弱いんだよ。」

「そんなことないはずなんですけど。お仕置きペンって、設定レベル変えられるんですよ。言いませんでしたけど、それでだんだん強くしてたんです。」

「そんなことだろうと思ってたよ。でも、ここしばらく、レベル変わってないんじゃないか?」

「よく分かりますね。実はマックスになっちゃったんです。ご先祖さん、体力ありますよね、感心してました。普通、マックスだと、150回くらいで足腰立たなくなるらしいんですけど、ご先祖さん、マックスにしてからもう300回越えてますからねえ。」

「だろ。大学時代に死ぬほど鍛えたからな。それに、俺って多分、お仕置きシリーズ、平気になりつつあるんだわ。そんでもって、なんか、こう、もっと刺激がほしいって言うか・・・」

「分かりました。僕の方で何とかします。もっと刺激的なヤツですね。」

「そうだ。それでだな、やっぱ、副作用は女にモテモテで困っちゃう、ってのがいいんだけど。」

「モテモテ、っていうのは、約束できませんが、強いヤツっていう条件は、パパに相談して、何とかします。」

「そーか、じゃよろしく。何か、最近、仕事してないと、落ち着かないんだよなあ。」

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