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「子孫君」

「誰ですか、シソン君って。」

「お前が、ご先祖さんて俺のこと呼ぶから、俺はお前のことを、子孫君、と呼ぶことにした。」

「はああああ、いいですよ、何でも。」

「どうした?今日はやけに元気がないじゃないか。しかも、いつもは夜なのに、なんで今日は朝なんだ?」

「お仕置きピンセットを持ち出してたことが、先生に見つかったんです。」

「えっ、ピンセットって先生のもんなのか。」

「そうです。僕たちを躾ける道具ですから。僕だって大変なんですよ。それで、昨日一日来られませんでした。僕がつままれたんです。お仕置きピンセットで。ずっと家で、書き取りやってました。」

「うむ、ご苦労。ってことは、もうお仕置きはなしだな。」

「そんなことあるわけないでしょ。大岡一族の未来と現在と過去がかかってるんですよ。じゃ、お尻出して。」

「おい、おい、今度はなんだよ。」

「お仕置きラケットです。体育準備室から拝借してきました。一学期は卓球の授業ないから、見つかりません。それから、これは昼間用で、効果が10時間続く10時間バージョンです。だから朝来なきゃならないんです。ピンセットは、いつでもどこでも用で、5時間バージョンでした。」

「5時間?俺、毎晩7時間くらい勉強してたぞ。損したあああ。」

「何言ってるんですか。たくさん勉強したから、今の大学に合格できたんでしょ。」

「・・・ま、まあ、そうだが。……でよ、随分小さいな、そのラケット。小学生用か。」

「いいえ、公式戦用ですが、なにか?」

「うん、いや、別に……。で、こう、尻出せばいいんだな。ところで、今度はどうなるんだ?」

「自分の体で体験してください。スマアアアシュ!!!」

        「痛てえええええええ!!!

ひでえなあ、ひっぱたくのかよ。それに、わざわざスマアアアシュ、って、言う必要あるのか?」

「おそらく、ないんじゃないでしょうか。気分、気分。」

「気分・・・って、おい。」

「じゃ、僕はこれで。さいなら、ご先祖さん。」

「おい、おーーーーーい。なんか、めちゃくちゃ熱くなってきたぞ。おーーい。これじゃ、座れんだろうが。」

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