第12話 いつメン尋問

「おはよ〜」

「おはよ〜あけおめ〜」

3学期も始まってすぐの学校。みんな新年のご挨拶を交わしたりしてちょっっっっっっとだけいつもより賑やかな気がするような。

「おはよ〜遼〜」

「おはよ〜」

澪と愛を除いたメンツで一緒に校門に入った。

「あ~お腹減っ」

ばんっ!!!

「痛っ!?」

『うわお』

頭を手で叩かれた。誰だ俺の頭を叩いたやつぶっころ。

「おっはよ〜」

「びっくりした...ってお前かい」

俺の後ろに菓子パン?を持った天下の暴れん坊の澪とさっきのを見て苦笑いしてる愛が居る。危ない殺せない倒せない逆らえないfoo↑↑。

「なんやそのボケた顔は〜昨日そんな顔ちゃうかったやろ〜。はいこれ」

「なにこれ?え、チョコパン?」

何が欲しい?って澪に聞かれてこれ欲しいって言ってええよーと言って買ってきてくれたパンを俺に渡してきた澪。

「ワレが欲しい言うたから買うてきたんじゃボケェ!!!」

「ちょ痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」

最近澪はすぐに固めてくる。まぁ、付き合ってるからいつもより激しめってのもあるけど。

「ほんとお前ら仲良いな」

「今日はさらに仲良いですね」

「付き合うとんちゃう?ってくらいやな」

『えっ』

...お分かりいただけただろうか?俺と澪が体の芯までピキっと凍った。どういうことか?そう......俺と澪が付き合ってる事は俺と澪と俺と澪の両親の中だけの秘密なのだ。だって........バレたらなんか怖いじゃん?割とマジでハブられそうな感じだし。それだけは避けたいという事でこうなっている。

「ん、んなわけないやろ!!流石風呂入って頭洗う時にシャンプーと間違えて脱毛剤塗ろうとした月詠神姬は言うことがちゃうわーー!!!!!」

「ちょ、それ内緒や言うた」

『えーーーーっ!?』

澪の叫びにより生徒達が神姬に注目し始めた。

「澪ぉぉおおおおお!!!」

「うっひょ逃げろ逃げろ〜!!」

ふぅ...なんとか澪がやり過ごしてくれた。往復ビンタ食らってる澪を横目にマジで毎回毎回ヒヤヒヤする。


「は〜温いな」

「温まるぅ〜」

お昼休み。澪と1階の自販機の前でココアを飲んで温まっている。

「次なんやっけ」

「国語2時間」

「寝るか絵しりとりしよ」

「だね」

「おーい澪〜」

『はーい』

「えっ」

愛がひょこっと出てきた。あれ、愛の顔がびっくりした顔に変わった。愛の目線を辿ると俺と澪の繋がれた手を見ている。...しまった。ばっと手を離す俺と澪。

「あーこ、これは遼の手がえらい冷たいから温めとってん」

「そうそう。痛いくらい冷たくてさ...」

「あ、そ、そう...なのね...。あ、あの姫島が澪のこと探してたわよ」

「えっ、あ、そ、そそーなん?分かった〜ありがとー。ほら、遼も行こ」

「ほい」

俺と澪は逃げるようにその場を去った。

「何か......変ね...?」

そして次の日は手繋いでほんわかしてる所を神姬に見られたりその次の日は澪とちょっとイチャイチャしてるLINEを善子と光に見られかけたりその次の日は誰も居ないはずの教室でキスしようとしたらいつメンが戻ってきてマジで危なかったり...とハプニングが続いて皆からはどんどん怪しそうな目で見られるようになった。

そして、2月の第一土曜日、高千穂の家、第6ステージ、俺の間にて。

『......』

俺と澪は神姬達にじーっと見られている。今の状況を説明すると部屋にはいつメンが居て俺のテーブルを俺と澪と以外の4人の間に置いて皆そのテーブルの前に顔を向き合わせて座っている。その4人はじーーーっと俺と澪の事を見ていてテーブルの上になんか紙やジュースが置かれてる。まぁ、裁判みたいな感じを思い浮かべてくれたらいい。本来ならゲームするはずだったのだがなぜかこーなった。

「はい、えー...なんでこうなってるか分かりますか?」

善子がめっちゃ真面目な顔で俺と澪に問い掛けてきた。

「......わ、分かりません」

「ウチも...分かりません」

分かってるが嘘を言う。たのむから嘘ついてたのがバレず経由結局バレるラインいつメン永久追放行きにならないことを願う。

「...そうですか。じゃあ、これを見て下さい」

善子が写真を見せてきた。

「これはなんですか?」

『っ...!?』

...嘘つくんじゃなかった。そこには数週間前に俺と澪が手を繋いだりコップに入ったジュースを一緒にストローで飲んだりキスしてる写真がある。

「えー...この写真はある1年生から頂きました」

『えっ』

「...なんですか?これは」

黙る俺達。外から列車の音が聞こえてくるくらい。

「こ、こういう風習があるっていう」

「せやな」

『は?』

「イタリアで流行っとんねんこういうやつ」

「そうなの?神姬」

「今調べたけどそんなんあれへんで?」

『(神姬ぃ...!!!)』

しまった...このメンツ頭いいからほぼ無双状態...これは嘘ついてたのがバレず経由結局バレるラインいつメン永久追放行きか...?

「付き合ってるのか?」

『えっ!?』

早速光からのストレートな質問が飛び出してきた。心臓がどくどくし始めた。めちゃくちゃ焦り始めた俺と澪。

「い、いや...それは...無いです」

「ホンマに無いです」

「キスもしてるのに?」

『うっ...』

愛が追い打ちをかけてきた。さらにみんなの目が鋭くなってきてる。すると光が1枚の紙を取り出した。

「ちなみに他の1年から「めっちゃ楽しそうに話してるby.溝口君」「付き合ってるとしかいいようがないだろあれはby.山本君」「キスするところをよく見るby.教頭先生」「今度どこ行く?とかの話をよく聞きますよ〜聞く聞くby.学年主任」「付き合ってるってはっきり分かんだねby.姫島」と、その他334件も目撃情報が出てるんだよ」

「正直に言うてや。付き合っとん?どないなん?」

『...』

逃げ場が無くなった。汗がやばい俺と澪。学校の人らめちゃくちゃしゃべりますやん。

「黙ってないで何か言えば?」

「あっ、そーや。ウチバイトあるんやったーー」

『は?』

「えっ」

澪が棒読みでなんか言い始めた。

「やから、帰るわーもー列車来るしー(棒)」

「次の列車は2時間後だが?」

「. . .」

「その前にやる事があるだろ?そーれーに、今日バイト休みって言ってたじゃないか」

「(忘れとったぁああああああああああ!!!!!!)」

「(何しとんねぇえええええええええん!!!!!!)」

めちゃくちゃ死にそうな顔をしてる澪。

「早く答えなさいよ」

「あ、僕、お、お腹痛いから、トイレ行きたいでーす」

「光、連れてったって」

「はいよ」

ジャーーー...(水の流れる音)。

「ほら、早く答えろ」

「(んああああああ!!!!セキュリティ厳重すぎて逃げれんかったぁああああああ!!!!!!)」

「(なにしとんねぇえええええええん!!!!!!!)」

どうしよう、まじでどうしよう。逃げ場がない。もう正直に言う?その方がいいような気がしてきた...。

「つ、付き合っ」

ぎゅっ!!

「痛っ!?」

『ん?』

澪が俺の太ももをめちゃくちゃ強くつねってきた。ば

「言うたらあかんって(小声)」

「え、で、でも...(小声)」

バンっ!!!!

『うぇっ!?』

「...いい加減にして下さい」

善子がめちゃくちゃ怖い顔で机を強く叩いた。地味に光がびっくりしてて俺と澪は諦めた。

「.........はい。つ、付き合っ.........て...ます」

負けた。いや、もうわかってた話だが負けた。

「いつから?」

「ふ、冬休みの...1月4?5?のどっちかやったはずです」

「なんで付き合い始めた日知らないの?」

「えっと...わ、忘れ」

「はぁ!?何考えてんの!?そしたらあんた達も私達も祝えないじゃない!!」

「あぁ........え?」

ん?今なんて言った?祝えない?俺達と......私達...ん?

「そうだろ!半年や1年...の記念があやふやになったらどうするんだよ!!」

「そうですよ!何考えてるんですか!?」

「普通そういう記念日はお前ら2人とわたしらいつメンで祝うもんやろ!!!」

『えっ、あ、あー...は、はい』

何がどうなってるんだ一体。えっ、ど、どうすりゃいいのこれ。

「とりあえずいつですか?付き合い始めた日」

「えっと......あ、い、1月4日です」

澪がそう言うと皆メモし始めた。

「はぁ...なーんだ付き合ってたのかよ〜!!」

「何で隠してたのよ〜良かったじゃん澪〜」

皆嬉しそう...?え?これドッキリ?

「えっ、だって...う、恨まれそうって言うか...」

「はぁ〜?恨むわけないじゃないの〜!!!むしろめちゃくちゃおめでたい事よ!!」

「アタシ達皆家族みたいなもんだろ!!!!!」

何か皆ワイワイ祝い始めた。えっ、何か予想外。とりあえず追放されなくてよかった。


 『で?ヤって』

『無いです』

結局皆ここに行き着く。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る