第11話 花束

時は流れて1月1日、元日。

「ふー、年明けるんも早いなぁ」

「そうですね。いつもより早く感じますね」

伊勢神宮で初詣に行っている俺達いつメン。おみくじの結果に絶望と喜びを抱いている。ちなみに俺は小吉で1番悪かったのは光の大凶で「とにかくやばいことが起きんじゃね?」と書かれていた。

「澪~どーだった?」

「ウチなぁ~中吉やった!」

なんか嬉しそうな澪。

「見て!恋愛の所えぐない?直ぐに結ばれますやって!!」

『おおおお』

「じゃあ今すぐにでも告らないとだな!澪!」

「えっ」

澪がめちゃくちゃびっくりしてちらっと俺を見た。

「えっ」

「っ、ちょ、何言うとんねんおしみーん!!」

澪が光をこちょこちょし始めた。他のみんなはそれを見て笑ってる。なんで俺の方見たんだろ?まぁ何も無いんだったらいいや。

 次の次の次の次の日。

「澪」

「どしたん?」

「何でそんなに俺にくっついてんの?」

「あかん?」

「別にいいけど」

今、俺と澪は夜の大阪の高い所にいる。大阪のどこにいるでしょう?その通り!!!今居るのは梅田のHEP FIVEの赤い観覧車に居る。というのも俺は三国ヶ丘家毎年恒例行事の年始の里帰りに「遼もおいで!!!」と一家からのお誘いを受けたので近鉄に乗って昨日祖父母が住んでる大阪の難波にやってきた。何故か「おお!!君が遼君か!!」とめちゃくちゃ澪の祖父母や澪の親戚に歓迎されてなぜかお年玉も貰って夜遅くまでワイワイ楽しんでいた。

 今日は澪の両親が「デート楽しんでや〜♡」ということで先に帰って俺と澪はホテルに泊まって明日帰るという事になっている。デートって...まぁそんな感じだけども。

「綺麗やね」

「うん...久しぶりだなぁ観覧車」

「あ〜ほんまぁ。ウチこれ男と2人っきりで乗るん初めてやわ」

「えっ、あ、そ、そうなんだ」

なんか段々緊張してきた。いや、だって女の子と2人で観覧車が初めてって事と澪がさっきから照れまくってて何かこっちも喋りづらいしこれ今恋人関係みたいな感じ...あぁもう理解してくれよこの気持ちぃ!!!!そして観覧車が頂上付近に差し掛かった。

「...遼」

「ん?」

澪が俺を呼んだ。なんか必死そうな顔をしている。

「......」

「ん?ど、どうしたの?」

なにか言おうとしたが少し目をそらして下を向いた澪。

「だ、大...丈夫?」

「...」

「ど、どっか体調悪いの?あー...ちょっとまっててとりあえずビニールぶく」

「あんな」

「え?」

バっと顔を上げて凛とした顔で俺の顔を見る澪。

「っ、そ、その......すーーーっ」

なんか軽く深呼吸し始めた。

「ちょっと待ってな」

「ほ、ほう?」

なんかあたふたしてる澪。別にしんどいわけでも無さそう。なんか緊張してる...??俺なんかした?ちょっと顔赤く......まさか...?俺の中の疑惑が芽を開いた。まさか...そのまさか?いやいや俺どんだけ自分に自信があるんだよ。

「たまに...さ、ウチがわがまま言うたりして困らしたこともあるし...遼には迷惑かけたりしたこともあって...そんなんやけどずっとさ、こう...なんていうか、としてさ、おってくれて...ありがとう」

「えぇっ、いえいえとんでもない」

なんかお礼された。めちゃくちゃ申し訳ないな。

「そのー...............っ」

すーっと、また息を吸ってキリッと目の色を変えて姿勢を正して俺の方を向き直した澪。


「ずっと......好きでした。その...ウ、あぁ...わ、私と...つ、付き合って下さいっ......」


...。......。今の状況が飲み込めれてない。俺...こ、告られたって事でいいの?...しかも澪が俺に...。

「お、おお.....そ、そう、な、なんだ......あはは.........」

ほ、本当だったのか......。びっくりしすぎて言葉が出ない。...あーもうど、どうしたらいいんだよ16歳!!!!やばい、す、素直に...素直に...。

「......いいですよ」

「え?」

ガチャっ。

『えっ』

「はーいお疲れ様でした〜」

気が付けば一周回ってた。仕方なくお互い観覧車から降りた。

「さてと、ど、どうする?もう戻る?」

「...」

「澪?」

「へっ」

ここで現在の遼と澪の状況を説明しよう(cv:遼の父親)。澪はさっきの遼の返事が聞こえている。その嬉しさで絶句しているのだ。遼はさっきの返事が聞こえていないものと思っててまた別の機会でいいかと思っているという状況なのだ。

「ごめん。なんも聞いてなかった」

「あぁ、ホテル...戻る?って」

「えっ...あ、う、うん...戻る」

「どうしたの?しんどいの?」

普通なら気付くはず、「あれ、まさか聞こえてたからこんなんになってるの...?」って。遼はそこまで頭が回らないそうです。

「うん...い、いろんな意味で...えへへ」

「まぁ昨日も割と疲れたからね、しょうがないね。んじゃ戻ろっか」

「...うん」

何だか嬉しそうな澪。手を繋ぐ...のではなく腕を組んできた。

「どしたの」

「...あかん?」

「別に?」

「んならこれからこうでええやろ?」

「いいよ」

「えっ」

俺のマフラーを澪にも巻く。

「えっ、えっ、えっ、ちょっ」

「...澪」

「えっ」

澪のアゴに手を添えて...ちゅっ。

「んっ......!?」

...俺から澪にキスをした。澪は顔を真っ赤にして目を見開いて俺を見ている。まだ4日しか経ってないけど暫定今年一喜んでいる。よっしゃキスする時の顔多分だけどブサイクじゃ無かったやったぜ。

「...行こっか」

「......うん、行く」

腕を組んで歩く俺と澪。何だかとても嬉しそうな2人。最後の最後にやっと気付いた遼。良かったな澪ちゃんよ。あぁ〜お父さん羨ましいよ〜俺ももっと美人な人と...ん?誰か来たな...って母さん!?何んで手に包丁が!?ちょ、待って許してアッー!(cv:(故)遼の父親)。

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