第9話 告白大作戦

 少し寒くなった11月の土曜日。

「ほう...なるほど」

ウチは神姬の部屋で遼のいないいつメンに相談してる。

「そろそろ...遼に告りたい」

「それは...今すぐですか?」

「おん!!」

そう、ウチは中々遼に告られへん。何回もそーいう場面はあったのに告ったことがないウチがチキってチャンスを逃してる。

「よし、澪の告白大作戦始めるぞ!!!」

『へい!!!』

ということで皆に手伝ってもらうことになった。

 "1発目"。

「お待たせ~ごめん遅れて」

「全然ええよ~」

放課後。何故か俺は澪に学校近くの駄菓子屋に呼び出された。この駄菓子屋は学校終わりによく寄る所で次の列車が来るまでここで時間を潰したりする事もあって俺達いつメンはめちゃくちゃお世話になってる。中に入って30円くらいのお菓子いくつか買って店のベンチに座った。

「見てこれめっちゃぱちぱちすんねん口の中」

「えっ、嘘~どれどれ試してみる...んんんんんんん!?!?!?」

「ほら言うたやろ~!!」

「すげぇ!!あぁ痛い痛い痛い!!」

口の中がぱちぱちして痛がってる俺を見て笑う澪。そっから数十分間澪と雑談して列車の時間が近づいてきたため駅に移動してちょっと沈黙が続いた。

「なぁ、遼」

「んー?」

さっきまで普通に雑談してて急に澪の目付きが変わった。なんか緊張してるようにも見える。

「そのー...いつメンでもそーやし...2人の時間めっちゃ増えたやん」

「う、うん。そうだね」

説明しよう。これは普通に学校帰りに告白するっていう流れだ。よくあるパターンだろ?(cv.光)。

「う、ウチさ、そろそろ」

「うぇーーい澪~」

『えっ』

なんか同じ制服着た高校生の男女軍団が攻めてきた。

「おっ、遼くんもいるじゃーん」

「お、おう」

俺と澪に話しかけてるのは谷町京たにまちみさと。同じ学年の3組の生徒。バドミントン部の1年のリーダー。あだ名はざっとん。この小説には初登場だが結構いつメンと絡んでる元気な女の子。後ろにいるのは3組の軍団。

「なにしてんの~??あ、もしかして告は」

「何してくれとんねんボケ!!!」

『えっ』

ざっとん軍団にブチ切れ始めた澪。

「なにこんな時間に帰りよんじゃボケ!!!ええ所で邪魔しょってよぉ!!!あぁ!?」

『あ、す、すみません...』

澪がめちゃくちゃブチ切れてると列車がきた。

「行こ、遼」

「う、うん...」

列車に乗った。この後LINEでめちゃくちゃざっとんに謝った。

 "2発目"。

「スマッシュなー」

「へーい」

土曜日。俺と澪はバドミントン部に遊びに行ってる。というのも俺と澪はバドミントン全国一位の成績を持ってる。澪は中2、俺は中3の時に。ほんとに日本一なの?って思ってる人もいると思う。すると早速俺が高くあげたシャトルの落下地点に移動した澪が身体を反らしながら高くジャンプした。

「パァアアアアん......!!!!」

シャトルは音速で俺のコートの床に打ち落とそれた。澪のスマッシュはめちゃくちゃ速い。多分今のでも350km/h以上は出てた。そのクソ速いスマッシュのおかげで澪は「なにわの新快速」と呼ばれていた。じゃ俺は?もう一度ロングサーブを打って澪にスマッシュを打たせた。その瞬間俺は左にスライディングして澪の音速スマッシュを返した。急いで立ち上がって体制を立て直した。そう、俺はスマッシュも打てるが守備も中々手堅い。さらに俺はもう1つ特技がある。澪がカットで返してきて俺がネットで返そうとラケットを横にして近付いた。澪はネットで返すと思って前に急ぐ。しかし俺はネットで返すと見せかけてラケットさらに下げてから奥に返した。澪は立ち止まってコート内に落ちるシャトルを見届けるだけ。いつもフェイント決めたら澪に「ほんまだるいでそれ」って怒られる。そりゃフェイントとか性格悪いもんね。こんな感じで俺はフェイントも出来る。どちらかと言うとオールラウンダー的な感じだ。そして部活の終盤になると絶対やるのが俺と澪の試合。21点マッチ2ゲーム先取した方が勝ちで試合をする。

「この試合勝ったらウチの言う事1つ聞いてや?」

「じゃあ俺も1つ言う事聞いてよ?」

「えーで?」

説明します。これは澪さんが試合に勝ったら「ウチと...付き合うて?」ってなるやつです!!言うこと聞くという罰ゲームを有効活用してます!!澪さんが試合に勝てばもう大丈夫ですね!!勝てばね!!ということで1ゲーム目開始。結果、21-11で俺の勝ち。澪は基本1ゲーム目は相手の行動パターンを読んで2.3ゲームを取って勝つという中々ギャンブラーなやり方でやってる。案の定次のゲームは15-21で澪に取られた。そして3ゲーム目。...23-21で俺が勝った。

「んああああああああああ!!!!」

「よーし、勝った勝った~。じゃあ、飲み物2日間おごりで」

「なんでやねぇえええん!!!」

...またまた失敗した。

 ..."3発目"。

 『ただいまー』

学校を終えて家に帰った俺と澪。俺はお風呂に入ろっかなーって思ってた。

「ななな、これやろ!!」

澪がなんか箱を見せてきた。トランプ的ななにか...ん?王様ゲームトランプ?こんなトランプ買った覚えないけど...?ということで澪と王様ゲームトランプで神経衰弱することになった。普通に全部は多いから内容を隠しながら数字だけ見て20枚選んだ。一応4人プレイなのでAとCが俺、BとDが澪。もう気づいてる人もいると思うけど説明するわね。これは本来夜にやるゲームを夕方くらいにして夜に持ち越す作戦よ!!一気にレベルが上がったような気もするけどこれくらい強引にならないと何も楽しくないわよね!!!ちなみにこのトランプは善子が買ったものよ。流れとしては王様ゲームしてそーいう雰囲気になって一緒にお風呂入ってさらにいい感じになって夜を過ごすって流れよ!!!オホホホホホ!!!!(cv.愛)。

 ということで先行は俺。ま、最初だから当たる訳...あった。早速1が揃ってしまった。内容は...BがAにハグする。

「行くで?」

「お、おう」

澪が俺にぎゅーーっとハグしてきた。あぁ、優しいハグに澪の髪のいい匂い...幸せ。続いて俺の番。どうだ...?頼むからあんまり当たって欲しくない。警察沙汰になるからっ...?1枚目はダイヤの5、2枚目は...スペードの5。内容は...AがBに20秒間キスする...。

『えええええええええ!!?!?』

早すぎないか!?もう!?ええ!?澪もなんか慌ててる。

「ちょ、ちょっとまってや...」

澪が俺に背を向けてガチャガチャやってる。なんかお口ケア?みたいな?

「...ほんまにやるん?」

「や、やるしか...ないんじゃ?」

澪は恥ずかしそうな顔をしてちょっと横を見てる。

「...わかった」

俺は澪に近づいて左手で澪の後頭部を、右手で右肩を支えた。澪は目を閉じて唇を少し出した。ああ...付き合ってもない子に...。なんか神姬のことが頭に浮かんだ。神姬と初めての時もそうだったな...。よし、ゆっくりと俺の唇を近付てやっとキスができ。

『ただいまーー!!』

『へっ!?』

光達の声が玄関から聞こえた。俺と澪は慌てて離れてトランプも片付けて何もなかったことにした。

 ...次の日。神姬の部屋での報告会。

『ええええええ!?』

「っていう...はい」

みんな驚いてる。

「わ、私達邪魔しちゃったのね...」

「すまなかった...これは全部善子が...」

「いや元々神姬さんの家に行こうとしたのに遼さんの家に行こうって言い始めたの光さんですよね?」

「...ちっ」

「その後はなんもないん?」

「おん。お風呂入ってご飯食べて一緒に寝ただけ」

あの後は特に何も無く終わった。なんか変な気持ち。

「ざっとんさんはどう思いますか?」

「えっ!?わ、私!?」

実は1人ゲストがいる。谷町京たにまちみさと。イツメンはざっとんと呼んでる。たまに遼の家に来たり遊んだりしてる。同じ学年の3組。

「んー...?正直そんなに急ぐ必要無くない?今告白するのが無理なら準備整ってからでも遅くないと思うよ?それに...」

『それに?』

「遼の恋人になるであろう人は澪以外いなくない?」

. . . 。

「どうした?そんなまともなこと言うヤツだったか?さてはお主...谷町京じゃないな!?」

「いや谷町京ですけど!?」

そ、そう...見られとんか。なんか全身の力が抜けた気がするような。そうや...慌てたらあかんねん...。まぁあと一歩や、がんばろ。

「誰なのよあんた!!ほら!!正体を明かしなさい!!!」

「ちょ!!制服脱がそうとしないでえええ!!!」

 一方俺は...。あれ、いつメンが部屋にいない。なんでだ。もしかして前のキスしかけたことバラされた?だとしたら俺終わった。光に殺される。

 その後、光に殺されることはなかったが「すまなかったな」と謝られた。...なにが!?

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