第6話 体育祭

夏休みも終わって2学期。久々の学校だから頑張りますか〜って感じ...かと思えば違う。

「えー、今日は9月15日に行われる体育祭の種目決めをしたいと思いマッスル」

『えええええ!?』

担任が俺達の前に立ってなんか言ってる。ちなみに担任の名前は姫島隆也担当科目は社会

「寝よ」

「ほら遼も寝よ」

「お、そうだな」

「起きんかいこらそこの3人」

体育祭...割とめんどくさい行事の1つ。リレーとかで走ったり騎馬戦でわちゃわちゃするより観客席で雑談する方が楽しいと作者は思う、うむ。

「はーい、決めていきますね〜。まず最初は100m走です」

委員長である善子が前に立って司会進行している。

「いませんか〜?じゃあ姫島に」

「ちょっと待て」

「はい?なんですか?私何か間違えたこと言いました?え?」

「まず...なぜ俺をリレーにぶち込もうとしてんだ?本来なら俺がお前らをリレーにぶち込まなければならないのに」

「誰も手を挙げる人がいなかったので姫島に」

「てかなんで呼び捨てなの!?あれ!?善子って基本他人の事呼び捨てで呼ばないよね!?」

「じゃあさん付け」

「先生だろ普通ぅ!!!先生だろ!?前までというかさっき職員室で会った時俺の事姫島先生って呼んでたじゃん!!!!」

なんか先生と善子の変な言い合いが始まった。すると善子が下を向きながらメガネをチャキっと直した。

「ガタガタガタガタうるせぇな...何が先生だ...あぁ?」

「えっ」

ええええ善子が指パキパキ鳴らしながら先生に近づき始めた。すると神姬達の顔がヤバそうな顔に変わった。

「先生!!謝って!!善子マジギレしたらCQCとかよー知らんけどサバゲーの技使いまくってウチらでも敵わんくらい無双状態になるから死にたないんやったら謝って!!」

「あーーーー!!!!ごめんなさい!!も...(俺の何が悪いのか分かりませんが)申し訳ございませんでしたっ!!ゆるしてくださいっ!!何でも(ry!!!」

「み、みみみ澪!?先生床をスコップで掘られた後みたいに穴開けながら頭打ち付けて土下座してるけど大丈夫なのこれ!?」

「善子はキレさせたらここまでせなあかんねん!!!」

「えええええ!?」

「おい見ろ遼、めちゃくちゃインスタ映えするだろ」

「しねーわ!!!!」

 ということで善子が正気に戻って普通に進行させてぽんぽんと種目が決まって行った。姫島は空いた穴を運動場の砂で埋めている。

「はい、そして最後の男女混合クラス対抗200mですが...」

「なぁ、アタシすんごいいいこと思いついたんだ」

「どうぞ」

「これこそ善子に全部走らせたらいいんじゃな」

「なんでだよぉおおおおお!!!!なんでそーなるんだよぉぉおおお!!!!!」

立ちながら脚を大きく開いてあと少しでパンツ見えそうなくらいまで後ろに身体を逸らしながら叫ぶ善子。

「だって委員長だろ?クラスの代表だろ?」

「うっせぇーーよ!!!!クラスの代表!?あぁ!?知らねぇよんなもん!!!だからつって何でもかんでも私に全てマルナゲドン☆とか頭にウジ湧いてんのかてめぇこの野郎!!!!」

「あぁ!?てめぇいったい誰に向かって喋ってんだこの野郎!!!!!」

「てめぇ以外誰がいると思ってんだよこの野郎!!!!」

「やんのかてめぇゴルァ!!!」

「やってやろうやないかい!!!」

そう言って善子が制服の袖を捲った。

「あんまり私を舐めない方がいいぞ...?」

「はっ...1発で決めてやんよ...」

『ジャンケンでなぁ!!!!』

クラス一同ずっこけた。なんかまた変な茶番が始まった。

「あーいいぞ!?これで勝ったらお前全部走れよ!?」

「当たり前じゃボケェ!!!腹くくれぇい!!!行くぞ!!!」

『最初はグー.....ジャンケンほいっ!!!!』

お互い手を出した。光は...グー、善子は...パー。

「っしゃあああああああああああ!!!!!コロンビアあぁぁぁぁああああ!!!!!」

「な...なんだとぉっ...!?このアタシが負けただと......くそっ...クソぉッ!!!」

「さ、ぱっぱと決めましょうか光さん」

「お、そうだな」

『ええからはよせぇ』

 そんなこんなでとりあえず全ての種目が決まった。結局俺は100m走と最後のクラス対抗200m走に出ることになった。

「遼〜最後よろしくなぁ〜」

「はいよ」

そう、澪も最後の200m走にもでるのだ。

「アタシも出るんだぞ」

「あぁ.....え?...あぁ...忘れてた」

「アタシの扱い酷すぎだろ」

「俺もよろしくな!!」

「あぁ、溝口君もか」

第1走者が50m走最速6.8秒の光、第2走者は最速5.9秒でクラスで1番足が速くて料理がめっちゃ上手な溝口勇気君と第3走者が最速6.6秒を記録した「なにわの新快速」の澪でアンカーが...最速6.2秒のクラスで2番目に速い俺だ。

...そして、1週間後。

「第70回目の体育祭を、これより開催致します」

校長先生の開会式により体育祭が始まった。皆それぞれのクラスのハチマキを巻いている。

「わたしら青なんや」

「いい感じの青じゃないか」

生徒はみんなハチマキを巻いている。俺達2組はJR西日本の新快速の表示幕と同じ青色だ。澪はとにかくめちゃくちゃ喜んでいる。

開会式が終わって第1種目が早速俺の出る100m走。俺は1番最後に走る事になってあー、暇〜って思ってたら俺の番はすぐに来た。

「現在の結果は、1.2.3組共に6点で同点です!!」

なんと1.2.3組同点で俺達の番なのだ。大事な事だから2回言った。しかもアンカーは1クラスから1人しか出ない。つまり3人で走る。うわぁ...威圧が凄い、とにかく緊張し始める俺。

「遼!!頑張れよ!!!」

「遼さ〜ん!!頑張って下さ〜い!!!」

「遼1位取ってや〜!!!!」

なんか俺のクラスだけやたらと声援がデカい。そのせいで2.3年生からの声援もまぁまぁでかい。...めっちゃ恥ずかしいんですけど。

「位置について!!」

審判の声で色んな感情と共にそっと頭のタスキを結び直してレーンに着いてクラウチングスタートの構え。ふぅ、実は俺達いつメンは体育祭の5日前に特訓したのだ。クラウチングスタートの仕方...走り方...柔軟...最高の状態で仕上げてきた。

『...』

2.3組の生徒達も同点でクラスからの威圧が凄いからかめちゃくちゃ険しそうな顔をしている。しかも速そう...。

「よーい...」

審判の声と共に腰を上げた。息を呑んで見守る神姬達。

「バン!!!!」

鉄砲の音と共に一気に走る俺達。

「おお!!速い!!速い!!速いぞ2組!!」

腕を思いっきし振って勢いよく加速していく。そして徐々に姿勢を真っ直ぐにして...えっ。気が付いたらゴールテープを切っていた。

『いええええええい!!!!』

え...?2組からの歓声がめちゃくちゃデカい。走りに集中し過ぎてて気付かなかったが俺がぶっちぎりの1位だった。そのため2組は他のクラスより3点リードして1種目を終えた。...え、終わるん早っ。

「よーやった!!!流石わたしらの遼や!!!」

「やりますねぇ!!!」

「凄いじゃねぇかよお前ぇ!!!」

「ど、どうも...」

観覧席に戻るとクラスの皆からめちゃくちゃ喜んで俺を出迎えてくれた。

「遼〜!!!やるやん!!!ちょ、来て来て!!」

「えっ、う、うん」

澪について行くと自販機の前に着いた。

「なんか選び?」

「えっ、いいの!?」

「おん」

「あ、ありがとう」

ということで俺の大好きなコーラを買ってもらった。いやぁ、ありがとうございます。

「324×48=!?」

「えーっと15552!!!」

「正解!!!」

「やったーー!!!」

障害物競走では序盤は最下位だったが、最後の計算問題で神姬の得意の暗算のおかげで1位。

「よっ...ていっ、よいしょっ」

外野10人vs内野1人ドッジボールでは善子が投げられてくるボールを趣味の格闘技やサバゲーの技を使って華麗に避けて制限時間3分をたった1人逃げ切って1位。

「くっ...どーなってんだっ...なんなんだよこいつぅううっ!!!!」

「へへへ...!!!」

「な、なんで笑ってんの...!!?!?」

バンッ!!

「うああああああっ!!!!!!」

クラス対抗腕相撲では光が決勝戦で1年生の中でめちゃくちゃヤンキーで力がめっちゃ強いと噂の1組、山本怜治君に笑みを浮かべながら余裕勝ちした。山本君は右腕を抑えてめちゃくちゃ悶えている。

「待て!!!左だ!!左はまだだ!!」

「あーもううるせぇなぁ!!!」

バンッ!!バンッ!!バンッ!!

「あああああっ!!!!」

「はいストーーーっプ!!!!!」

何度も山本君の左の拳を机に叩き付けて男子顔負けの怪力を見せつけた光であった。

「はい取ったァ!!!!」

「な、なんですってぇ!?」

澪が騎手の騎馬戦では澪の素晴らしい動体視力により1位。愛が騎手の騎馬に勝った。騎馬の前が俺、左後ろが光、右後ろが善子という贅沢な騎馬だった。いやぁ澪の太ももは最高でした。

「やっとやな〜」

「んな」

お昼を食べていよいよ最後の競技、男女混合クラス対抗200mリレー。現時点で1.2.3組共に30点だ。この種目によって優勝が決まる。

「応援してるわよ〜?」

「はっ」

愛が来た。1組の愛が来た。腕相撲初戦負けの愛が来た。

「あ、腕相撲おしみんに秒で負けた稲枝愛さんや」

「なっ!?う、うるさいわねぇ!!大体光なんかに勝てるとでも思う!?この貧弱で貧乳な私が勝てるとでも思うわけ!?え!?」

「まぁまぁ落ち着」

「聞いてんのよ!!!無視すんな!!!」

「すんません」

そして俺達クラス対抗リレー組が入場した。相変わらず2組からの声援がでかい。

「おしみん頑張ってや~」

「あぁ...もちろんだ」

1番重要なリレーなためか光の顔がいつもより厳つくてかっこいい。

 「位置についてー」

「ふぅ......」

一息ついて光がレーンに立ってクラウチングスタートの構えをとった。女→男→女→男の順で走っていく。おぉ...光以外の女子も速そうだな...。

「よーい...」

バンッ!!鉄砲の音と共に光達が走り始めた。

「さぁ始まりました!!おーっ!!序盤から並んでいるっ!!!」

序盤はなんと3人共に綺麗に並んでいる。しかしコーナー後半に入った瞬間光がペースを上げてほんの少し差が開いた。

「ええぞおしみん!!」

「いいぞ!!いいぞ光!!!」

「行けぇええええ!!!(光)」

「了解ぃ!!!(溝)」

そして光から溝口君にバトンが渡ってさらに会場が盛り上がる。

「速い!!速い!!2組忍海さんに続いて溝口君めちゃくちゃ速いです!!!」

3人ともめちゃくちゃ速い。しかしそんなな中溝口君がどんどん差を広げて行く。

「はい2組!1組!3組!(先生)」

「ふー...行ってくるわ遼」

「うん!!頑張ってね!!」

「頼むぞ澪!!!(光)」

「はいよはいよはいよはいよぉおおお!!!!」

溝口君から澪にバトンが渡るとクラスの皆が立って応援し始めた。

「澪ーーーっ!!!頑張ってぇぇぇえ!!!!(愛)」

「行けぇなにわの新快速!!!(姫島)」

いや速い、まじで新快速。あの223系?のような凛とした目で閉塞を通過して行く。いやぁ...速くてめちゃくちゃカッコイイんだけども...めっちゃおっぱい揺れてますやん。よくあんな走れるなぁ...おっと失礼。

「はい2組!!(先)」

ついに俺がレーンに立った。アンカーなので青色のタスキをかけている。ふー...責任重大だ。差は開いてるとは言えども澪のすぐ後ろには他のランナーがいる。

「遼ー!!!行くでぇえええええ!!!!(澪)」

澪がバトンを差し出す。

「来い!!!後は俺に任せろぉ!!!!」

そう言って澪から俺にバトンが渡って全力で走り始めた。

「行けぇ!!!遼!!!(姫)」

「頑張れぇえええ!!!!(父)」

「せーのっ!!(母)」

『走れ!!我らの新快速!!!!!(1.2.3年の2組&姫島&愛&両親)』

なんか聞こえる。なんか聞こえるけど今そんなの気にしてられない。でもその声のおかげでさらに加速する俺。

「いいぞ!!!そのまま持ち込め!!!」

「あと少しよ!!!あと少しよ!!!!」

「行っけぇぇぇぇぇええええ!!!!!!(澪)」

"パーンっ!!!"

ピストルの音が聞こえた。皆の声を乗せて、ゴールテープを切った。

『っしゃああああああああああぁぁぁ!!!!!!!』

歓声が聞こえる。やった...やったぁ...!!!1年のクラス対抗リレーは2組が1位になった。2組はめちゃくちゃ喜んでいる。

「遼〜!!!!!」

「うおっ」

澪が俺に抱き着いてきた。

「ナイス!!!やるやん!!!めっちゃカッコよかったで!!!」

「あ、ありがとう」

「やるじゃねぇかよ遼!!」

「流石遼だな!!!」

「あっ」

後ろから光と溝口君がやって来た。それと同時に素早く澪が俺から離れた。なんか久しぶりにこんな皆に喜ばれて照れるんですけど。

その後2.3年のクラス対抗リレーを終えて俺達2組は1年、総合、共に優勝を果たしてなんと今年の体育祭のMVPが俺になってめちゃくちゃ褒め称えられた。

『おはよ〜!!遼君〜♡』

「お、おはよ〜」

『遼君じゃん!!チーっす』

「ち、チーっす」

代休挟んでの火曜日。なんか違う。いつもと皆が違う。やたらと俺に接してくる。全く喋った事が無い人から挨拶が来たり...え、何これ。

「モテ期か...(光)」

「せやな(神)」

「えぇっ!?俺モテ期終わったよ!?」

「そんなん個人差あるわ(澪)」

「そうですよ?3回以上無いっていう傾向が多いってだけで例外もあるんですよ?(善)」

「はーあ、凄いわねぇ1日で皆を魅了するなんて(愛)」

「ねぇ、あの人じゃない?」

「あーほんとだ!!高千穂君だ!!」

「やっばカッコイイ!!!」

なんか他の組の生徒さん達がガヤガヤし始めた。モテ期かぁ...あぁ...こりゃすでに大変だけどもっと大変な学校生活になりそうだ...(内心嬉しいけど)。


























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る