第3話 転校生は天使
優花との出会いは小学三年生の時。
私の学校に優花が転校してきた。
先生に紹介されて教室に入ってきた優花を見たときの衝撃を私は今も覚えている。
「笹倉小学校から転校してきました。森山優花です。よろしくお願いします」
小学生とは思えないくらいスタイルが良く、当時人気があったキッズブランドの服に身を包んだ優花は私が今まで見たどの女の子より可愛かった。
自己紹介の後、その可愛さから
「わあ〜……!」と教室内から歓声が漏れた。
その歓声を聞いたとき、あぁこの子は誰から見ても特別なんだなと子供ながらに優花の凄さを感じた。
休み時間、クラスのほとんどの女子が優花の周りに集まった。
隣のクラスの子達も集まってきた。
私も優花と仲良くなりたかったけど、クラス内ヒエラルキー中位の私にはヒエラルキー上位の子の横で控えめに微笑むことが精一杯だった。
優花が転校してきてからしばらくして、席替えがあり私達は隣の席になった。
この席替えが後の私達の友情のきっかけになる。
それまでは挨拶を交わす程度の仲だったが席が隣になって以来、いろんな話をするようになった。
私とは住む世界が違うと思い込んでいたけれど、話してみると何時間でも話せるくらい楽しくてお腹が痛くなるくらい笑い合えた。
授業中も小さな声でずっとお喋りをして、怒られてからも筆談で話し続けた。
家も近かった私達は自然と登下校を共にするようになり、いつしか二人一緒にいることが当たり前になっていった。
優花を初めて見たとき、彼女はまさしく天使だった。
あの頃の私は、誰かのグループに入って自分の居場所を作るのに必死だった。
そんな毎日ではリーダー格の子の機嫌取りばかりで行き詰まる毎日で、思いっきり笑えることなんてほとんどなかった。
そんな私にとって優花との出会いはまさに天からの贈り物のように思えた。
優花と仲良くなったことで私のクラス内ヒエラルキーは一気に上がった。
優花を誘いたければ必然的に私も誘わなければならず、最初は肩身がせまい気もしたが「幸が行かないなら私も行かない」と優花がきっぱり言ってくれるおかげで、次第に気にならなくなった。
こうして唯一無二のペアが出来上がった私達。
中学、高校と同じ学校に進み、クラスも部活もずっと一緒だった。
二年前に同じ大学に入学し、今では華の女子大生。
もう十年近い付き合いになるけど、友情は年々増すばかり。
喧嘩は一度も無い、って言いたいところだけど中学一年生の時一度大きな喧嘩をした。
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