第54話

月日は、流れ。遂に、生徒会選挙当日。

体育館には、生徒達と先生で埋め尽くされていた。

舞台の上には、仰々しく第2回生徒会選挙と書かれている看板が吊るされていた。

………文化祭みたいに盛り上がるんだな。たかが、生徒会選挙なのに。

「生徒会選挙っていつもこんな感じなのか?」

俺は、隣にいる八兎に聞いた。

「そうだよ。生徒会選挙は、いつもお祭り騒ぎで、こんな感じだよ。まあ、あれだからね。大きなイベントだからさ」

「ふーん、そうなんだ」

「お?もしかして、佑樹って緊張しないタイプなの?」

「いいや、もの凄く緊張するタイプだ。現に今も物凄く緊張してるしさ」

「はは、そうなの?全然そんなふうには、見えないけど?」

八兎は、笑いながらそう俺に聞いてきた。

「そう?」

「そう」

「まあ、ともかく俺は、物凄く緊張してるんだ。だって、今から俺が生徒達に話すことを考えるとさ、そりゃ緊張もするだろ?」

「はは、まあ、それもそうだね。だって、佑樹の立てた公約は、生徒会の廃止だもんね」

「………そうだよ。………それに、誰かさんのせいで全校生徒、いや、先生も含めみんなが俺の公約が、生徒会の廃止だってことを、立候補者の公約は、当日までは、伏せて置くというルールがあるのに、全校集会で言っちゃうんだからね」

そう言いながら、俺は、八兎のことを睨むのだった。

「はは、まあ、私は、隠し事が嫌いだからさ。華撫に言わないのは、嫌だったからさ。だから、まあ、そこは、許してよ。それに、全校集会の時に言ったこととは、別に私は、関係ないから」

「…………………………」

「沈黙とかやめてくれない?私が悪いことしたみたいじゃない」

ええ、君が、俺の知らないところで、俺の許可もなしに、華撫先輩に俺の公約をばらしたことを悪いとはいいませんけど、俺だって君がそういう性格だってことぐらい俺だって知ってましたし。でも、せめて口止めぐらいでもしてくれても良かったじゃないのかな?

………まあ、結果的には、俺の公約を全校生徒に教えてしまったから、公平さを期すためとして、後日立候補者公約と書かれた紙面が配られましたから、文句はないんですけどね!!

「…………まあ、頑張るしかないよな」

「ん?なんか、1人で納得してみたいだけど?

まあ、いいか」

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彼女になるはずが、義妹になった!? 夏蓮 @ennka

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