第48話

「おはようございます。佑樹」

「おはよう」

今俺に挨拶をしてきたのは、最近行われた席替えにて、お隣の席となった。俺と同じく学級委員長であり、滝本財閥とかいうとこの社長令嬢の滝本麗華だ。

「どうしたんですか。そんなに、悩ましい顔をして」

「ん?いや、なんか凄いなーと思ってな。この学校の伝染力というのか、それとも華撫の凄さとでも言うのかがな」

「ふふ、そうですね。この学校の伝染力は、底が知れませね。もう既に、学校中の大体の人が佑樹が生徒会長に立候補したと、それに、その推薦人があの八兎先輩だとね」

「………本当いやになるよな。なにが、面白いのか、誰が出ても変わんないと思うんだけどな」

「佑樹、それは、違うと思いますよ」

「違う?」

「はい。こんなふうに、学校中で、佑樹が生徒長に立候補したという情報が流れているのは、佑樹だからだと思いますよ」

「俺だから?」

俺には、いまいち麗華が言っていることが理解できなかった。

「はい。そうです。確かに、この学校の噂の伝染力は凄いのだと思います。ですが、普通の生徒だったらこうはなっていないと思いますよ」

「………それは、どうゆう?」

「それは」

麗華がそうなにかを言いかけたその時だった。

朝のSTを告げるチャイムが鳴ったのは。

「あら、チャイムが鳴ってしまいましたね。なのでこの話の続きは、昼放課で」

なんというか、とっても続きが気になる!!

****

そして、昼放課。

「で、朝の話の続きは!!」

「ふふ、そんなに急がなくても、私はきちんと答えますよ」

「いやー、そうなんだろうけどさ。朝の話の切り方がね、とても続きが気になる感じだったからさ」

「そうでしたね。チャイムが鳴ってしまいましたからね」

「そう」

「えーと、佑樹だからだとかそんなことを言ったんでしたっけ?」

「そう。それで、で終わったんだよ」

「そうでしたか。じゃあ、続きを話しますね。佑樹は、1年生にして生徒副会長に就いた。まず、それだけで、学校での知名度は、私みたいな普通の生徒は違うのですよ」

「はぁ?麗華が普通の生徒?それは、なんの冗談だ?」

「ふふ、冗談なんかじゃありませんよ」

「いやいや、だって、麗華は、滝本財閥の社長令嬢なんだろ?それが、普通の生徒だなんて」

「あら?でも、佑樹は、最初私が、そういう人だとはわかっていなかったふうでしたけど?」

「いや、あの時は、分からなかっただけだよ」

「そうですか?たぶん、私がそういう人だと知っているのは、このクラスには、佑樹ぐらいだと思いますよ?なので、私は普通の生徒なのです」

普通の生徒…………そうでないはずなんだけど、でも、俺も麗華に滝本財閥の娘だと言われなければ分からなかったわけで、そしたら、麗華は、俺以外の生徒からみたら普通の生徒になるのか。

「わかった。この際、麗華は、普通の生徒だとしよう」

「ありがとうございます。それで、こうして騒がれているのは、佑樹が華撫先輩を倒すことができるかもしれないからです」

「俺が、華撫のことを倒す?どうゆうこと?」

「どうゆうこともなにもありませんよ。唯普通に、倒してくれるかもという空気を1年生は感じているだけです。ですが、2年生、3年生となれば、空気じゃなく、自分でそう思うのだと思います」

「それがどう繋がるわけ?」

「ふふ、なかなか佑樹は、わからず屋なのですね。じゃあ、考えてみてくださいよ。1年生が生徒会長になったとしたら、佑樹は、どんなことを考えますか?」

「どんなこと…………自分の意見が下級生だから通りそうだとは思うかもしれないな」

「そうです。それなんです」

「?でもさ、それなら、華撫の時でも、変わんなかったんじゃあないか?今の3年生からしたら」

「はい。そうですよ。でも、そうは、いきませんでしたからね。あの先輩は、自分で決めたことは、曲げない人でありますから」

「それは、確かにそうだけどさ………というか、そういえば、こんな学校のこと色々と知っているんだ麗華は?」

「ふふ、なんででしょうね?」

今日の麗華は、なんか良く笑うなー。

「それに、ですよ。佑樹の人徳もあると思いますし、それに、佑樹の公約が生徒会の廃止というのもあるんでしょうけどね。………じゃあ、私は、これから少し用事があるので、失礼しますね」

「…あ、ああ。ありがとうな」

「いえ、こちらこそ」

そして、麗華は、教室から出て行った。

麗華が出てまもなくのことだった。

こんな校内放送が流れたのは。

『──生徒会選挙に出る、立候補者、推薦人は、このあと、13時10より、生徒会選挙の概要説明があるので、第1会議室のお集まりください』

と。

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