第45話
「まけちゃったかー。まあ、仕方がない。私が、佑樹の推薦人をやってあげるよ。でも、ひとつだけ約束してくれる?」
「ああ」
「佑樹が、言った公約は到底叶うものではないと思う。学校としても生徒会という団体を残したいと思っているだろうから。だから、もし、佑樹が生徒会長になったら、私を生徒会副会長にしてよ」
「はぁ?」
俺は、とても間抜けな声を出した。
「なに、そんな間抜けな声は」
「いや、だってさ。八兎は、自分の力でじゃなかったのか?」
「そうだよ。その考えは変わらない。けど、生徒会に入れないんじゃあ、意味がないでしょ?」
「それは、そうだけど………っていうか、もうすでに、俺の公約が叶わないと言ってるよね、それ!!」
「うん、だって、そうでしょ。いち生徒がどれだけ生徒会が不必要なものだと主張したところで、生徒の唯の意見としか、捉えてくれない。
そうでしょ?」
「そ、それは、そうだけどさ」
「でも、佑樹は、生徒会という組織の存在意義を学校にもの申したいんだよね?」
それは、違うような気がするが、まあ、そういうことにしておこう。
だから、俺は、こう言った
「ああ」
「そう。なら、やる価値はあるから。推薦人に私は、なるよ。それと、華撫と勝負できるのは嬉しいし、それに、勝ちたいと思っているからね」
「そうか。それは、よかった」
こうして、俺と華撫との戦いが始まるのだった。
****
次の日。俺は、立候補者 和泉佑樹・推薦人 八兎夢と書いて現生徒会長 華撫先輩に提出した。
華撫先輩は、最初は驚いた様子だったが、すぐになにかが、分かったような顔をして、お互いに頑張りましょうと言って、生徒会室から出て言った。
「………あーあ、もう後に引けなくなちゃったな………でも、やるからには、勝たないとな」
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