第Ⅳ章 生徒会選挙

第42話

生徒会選挙が、2週間後に行われるところまできていた。

立候補期間終了まで、あと1週間。

「で、いつになったら、私の推薦人を見つけてくれるのかな?」

「…………えーと、もうすぐだよ……」

「その返事もう何回も聞いたんだけど!!」

「す、すいません………」

八兎に八兎の推薦人を探すよと言ってから、だいぶ時間がたっていた。

でも、一向に見つからない。

………はあ、俺は、どうしてあんなことを言ってしまったのだろうか……

俺は、今になって気づくのだった。あんな約束なんてしなけりゃよかったと。

でも、あの時に推薦人を探すよ的なことを言わなければ、あの場を切り抜けれなかったのも現実。

………なかなか上手く行くもんじゃないな。

「で、どうするの?」

「………どうするのと言われましても…………諦めるとか?」

「なに、それ真剣に言っているの?」

八兎の声に刺があった。真剣に、生徒会長になりたいと思っている人に対して、言ってはいけない言葉だった。だから、俺は、直ぐに謝るのだった。

「ごめん!さっきのは、冗談だからさ!!」

「へぇー、なんか、それにしては、とても真剣そうだったんだけど?」

「それは、たぶん、八兎の聞き間違いだよ」

「そう?ま、いいや。でも、佑樹には少しバツを与えないといけないみたいだね」

「え?」

「え?じゃないでしょ。だって、私に向かって、諦めればって言ったんでしょ。それなら、なにかしらのバツがあっても可笑しくないことだと私は、思うんだけどな?」

俺が、バツを受けることになるのは、とても釈然としないことだけど………まあ、八兎の目標を貶したから。仕方がないか。

「わかった。でも、バツってなんだ?」

「意外と、素直だね。えーとね、もし、このまま私の推薦人を見つけることが出来なかったら、佑樹には、私の推薦人になってもらうから?」

「は?どういうこと?」

「どういうこともなにも、言葉のまま。推薦人を見つけることが、できなかったら、佑樹が私の推薦人になってもらうということ」

俺は、さっきの自分の発言がとても軽率なものだったと思い知るのだった。

佑樹が自分の発言を悔やんでいるころ。

和泉真琴と、伊藤華撫は、生徒会室にいた。

「あのー、私の話しってなんでしょうか?」

「真琴ちゃんにとっても、良いこと」

私にとっても、いい話しってなんなのかな?

「それじゃあ、あまり時間もないことだから。早速本題を言うよ」

「はい」

「真琴ちゃん。君は、生徒会に入りたいと、そう思っているんだよね?」

「そうですね」

「で、和泉君に、推薦人をやってくれみたいな感じで頼んだけど、断られた。で、そこで提案なんだけどね。………私の推薦人にならない?」

「え?…………華撫さんの、推薦人にですか?」

「そう」

「えーと、なんでですか?」

「なんでも、なにも、私は、どうしても、和泉君を生徒会に入れたいの。で、真琴ちゃんも入りたい。できれば、和泉君と一緒に。そうでしょ?」

「た、確かにそうですけど………」

「よし!じゃあ、決まりね!!………それにね、なにか、今回の生徒会長選挙は、面白い物になる気がするんだよね。ってことで話しは終わり」




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