第43話

家へ帰る道中、俺は、八兎の推薦人をどうするしようか考えていた。

………推薦人って言ってもな。そうほいほいやってくれるわけじゃないし……そういえば、博之との約束もまだ果たせていないな。ま、そんなことはどうでもいいとして。ともかく、早いところ推薦人にを見つけ出さなくてはな。

……いや、そんなことするより一層俺が、八兎の推薦人やればいいじゃないか。って、それじゃカッコ悪いにも程があるよな。

そんなことを考えている間に、家の前まできていた。

「考えるのは、風呂入ってからにするか」

そして、俺は、家に入るのだった。

**

家に入ると、真琴ちゃんがなにかを書いていた。

「真琴ちゃんは、なにを書いているの?」

「ん?えーとね、生徒会選挙の推薦人の紙をね。と、その前に、おかえり佑樹くん」

「ただいま。………って、なに、真琴ちゃん生徒会選挙に推薦人として出るの!?」

俺は、今日いちで驚くのだった。

そりゃ、俺も知っていた。真琴ちゃんが、生徒会に入りたいと、そんな意欲を見せてきていたから。それに、俺とも話したし。

だから、もし、生徒会選挙に出るとしたら、生徒会会長の座を狙ってくるそんなふうに思っていたのだけど。

「ふふ、まあね」

「で、誰の推薦人を?」

「ふふ、現生徒会長 華撫先輩だよ」

真琴ちゃんは、少し首をかしげてそう言ってきた。

「はぁ!!か、華撫先輩の推薦人!?」

「うん、そうだよ。驚いた?」

「お、驚いたもなにも、なんでそんな話に?」

「ふふ、知りたい?」

「そりゃあ」

「そっか。じゃあ、教えてあげーない!!」

真琴ちゃんは、とても楽しそうに言ってきた。

「というか、真琴ちゃんって自分が生徒会長になるとか言ってなかったけ?」

「言ってたよ。でも、それは、昔の話で、今は、生徒会長になりたいという気持ちは、あるけれど、それよりも、生徒会に入りたいという気持ちの方が強いからね」

「華撫先輩の推薦人になるのが、一番手っ取り早いと。そういうわけ?」

「そうか」

真琴ちゃんと華撫先輩が、組めば最強だと思う。

今、学校の生徒の中で1番知名度がある華撫先輩、そして中学校の時、高嶺の花だと言われていた真琴ちゃん。これほどまでにいい組み合わせがあるだろうか。

それほどまでに、とてもいい組み合わせだと思ってしまった。

「で、結局佑樹くんは、生徒会選挙でないの?」

その質問に、今までの俺なら、すぐに出ないよ。と真琴ちゃんに言っていたのだろうけど、さっきの真琴ちゃんの話しを聞いて俺は、あることを決心するのだった。

………八兎には、悪いけれど、仕方がない。だって、なんとしてでも、華撫先輩を生徒会長に、真琴ちゃんを生徒会に入れるわけにはいかないから。

「出るよ。それも、推薦人じゃなくて、生徒会長に立候補するよ」

真琴ちゃんは、予想していた言葉とは違う言葉が返ってきて 、驚いたようだった。

「え?なに、佑樹くん、生徒会に興味が出てきたの?」

「いいや、生徒会には、これぽっちも興味はないさ」

「じゃあなんで?」

「まあ、なんとなくかな?」

本当は、そうではなかったけど、俺は、今真琴ちゃんに言うべきではないと思ったから。

「そうなの」

……明日、八兎に頼み込もう。俺の推薦人になってくれって。

こうして、俺と真琴ちゃんの勝負の火蓋は切って落とされたのだった。

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