第40話

場所は、移って生徒会室。

「……で、話しってなんなの?」

「生徒会選挙あるでしょ、その私の推薦人にならない?」

「嫌なだね」

「そうだよね。だって、華撫のお願いも断ったぐらいだしね」

なんだ、そのことを知っているのか。

なら、話しは早い。

「そう。俺が、その推薦人になりたくないのは、面倒くさいから。ってことも聞いているんだよな?」

「勿論」

「なら、この話しは終わりだ」

「でも、やりがいはあるって言ったんでしょ?」

「ああ、言ったよ。でも、それがどうしたって言うのさ」

「どうもしない。でも、君は、嘘をついている」

「はあ?どこが?」

「面倒くさいと思ったからと言ったところ」

「その、なにが嘘なんだ?」

「確かに、面倒くさいと思っているかもしれない。だけど、それが華撫のお願いを断った本当の理由ではないでしょ?」

俺は、固まった。

確かに、俺には生徒会選挙で、推薦人をやることを面倒くさいとは思った。でも、思っただけだった。

………まさか、もう一度生徒会に入りたくないからということまで分かっているのか。

「参考までに、聞かせてくれるか。どこまで分かっているのか」

「どこまで分かっているのか。うーとね、全部かもしれないし、そうじゃないかもしれない」

八兎は、そう言うのだった。

………くそー、これじゃどこまで八兎が、知っているのかが分からないじゃないか………

「……教えてはくれないのね……」

「ふふ、その様子だと図星だったみたいだね」

そこで、俺は気づくのであった。

「…は、嵌めやがったな……」

「私が嵌めた?私は、嵌めてなんかいないけど、佑樹が自爆しただけでしょ?」

「………っく……」

そう言われると、俺はなにも返せない。

「で、佑樹は、なんで、華撫のお願いを断ったの?あ、勿論、面倒くさいって言う理由以外でね」

「はぁ?八兎知ってるじゃないのか?俺が断った本当の理由を」

「知らないよ。ほら、私言ったでしょ。全部かもしれないし、そうじゃないかもしれないって」

「いや、それりゃあ、そう言ったけどさ……。っくそ。俺の馬鹿!!」

「はは、自分で馬鹿って言うのを見たの初めてだよ!!」

八兎は、とても可笑しそうに、それでいてとても楽しそうに笑った。

八兎は、笑い終えると

「で、教えてよ。本当の理由をさ」

「本当の理由は…………俺は、もう、生徒会をやりたくないっていうことさ」

「やっぱり、そうなるか。でも、華撫の推薦人をやったからって、絶対生徒会に入るってわけじゃないと思うけど?」

「確かに、絶対ではないかもだけど、絶対に近いだろ。もし、華撫が生徒会長になったら、俺を生徒会役員に選ぶだろ?」

「確かに、その可能性はら高いかもね。………で、そのことをふまえてもう一度、言うから。

私の推薦人になってくれないかな?」

八兎は、そう俺に言ってきた。


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