第39話

「華撫の推薦人ですか?」

「そう、私の推薦人」

「正直に言っていいですか?」

「いいよ」

「そのお願いは、お断りします」

俺は、そう言った。

だって、推薦人とか面倒くさそうだし、それに推薦人になったら、強制的に生徒会に入れられそうだし。

「ふふ、君ならそう答えると思っていたよ」

華撫は、とても楽しそうに笑った。

「じゃあ、なんで俺に聞いたんですか?」

「もしかしたらって思ってね」

「もしかしってって…………」

「それで、参考までに何故私の推薦人をやりたくないのか教えてくれるかな?」

「いいですよ、率直に言いますと、面倒くさそうだったからですね」

「面倒くさそうだったから?」

「そう、面倒くさそうだったからですね。たぶん、生徒会副会長よりかは面倒くさくはないんでしょうけれど、でも、推薦人って言ってるだけあって、選挙活動とかしないといけないと思ったからですね」

「確かに、それは言えてるかもしれないね。推薦人になったら立候補者と一緒に選挙活動はしないといけないし、演説のためにスピーチを考えたり、スピーチの練習とかはやらないといけないと思うけど……………でも、そういうのってやりがいがあって楽しいと思うんだけどな」

この人って本当に俺のこと分かっているのかって思うことがたまにある。

もし、俺がそういう活動をすることを楽しいと感じているなら、それこそ率先してやっているだろうから。

「確かにやりがいもあって、楽しいかもしれないですけど、生憎ですけど、俺はやりがいは感じることはできても、そういうことをやっても楽しいとは思わないので」

華撫は、少しだけ微笑んで

「そっか。は感じることはあるんだ」

その微笑みがどこか怪奇的で、俺はその微笑みを怖く感じた。

そして、華撫はこう続けた。

「じゃあ、私着替えるから、もう戻っていいよ。それと、まだ私は諦めてないからね」

………はぁー、諦めてよー。そう思いながら、俺は生徒会室をあとにした。

◆◇◆◇

教室に入って、少ししてから、前の席にいる男子生徒にはしかけられた。

「なあ、佑樹も勿論、生徒会長選挙出るんだよな?」

と。

勿論って………っていうか君誰?俺に初めて声をかけてきたよね?

「いやー、俺はたぶん出ないかな?」

「はあ?そうなのか。巷では、生徒会副会長は、生徒会長の座を虎視眈々と狙っているって言われてるのにか?」

なに、それ?俺が、生徒会長の座を虎視眈々と狙ってる。そんなわけあるもんか。

だって、俺は、生徒会に興味がないし、今生徒会副会長をやっているのだって、いろいろとあってやることになっただけで………それに、生徒会長の仕事知ってるか。副会長よりももっと多いんだぞ。そんな、誰が率先してやるかっての。

「俺は、生徒会長になるつもりはないかな?」

「そっか。わかった」

そして、男子生徒は前に向き直るのだった。

朝のSTまでやることがなかったので、家から持ってきた本を読もうと開こうとした時だった。

教室の扉が勢いよく開いたのだった。

まあ、その程度のことなら、たまにあることだから、特に気にすることなく読書に戻ろうとした時だった。

「和泉佑樹君は、いるかな?」

と。俺の名前が呼ばれたのだった。

だから、扉の方を見るとそこには、微笑みを浮かべている八兎がいた。

「あのー、生徒会書記の人ですよね?」

開かれた扉に1番近い席の女子生徒がそう聞いていた。

「そうだね」

「えーと、それで、なんで、そんな人が和泉君に用事が?」

「ああー、少しと話したいことがあってね」

和泉君から佑樹と言い換えた変えたから、周りの女子が「え、佑樹だって」、「佑樹って、2人ともそんなに仲がよかっただなんて……」とかいろいろと言ってるじゃないか。

そして、質問された女子生徒も放心状態かたやっと戻ったみたいで

「佑樹君なら、窓側の席ですよ」

と、答えていた。

そして、それを聞いて「ありがとう」と答えると八兎は、俺の方へと近づいてきて、

「少し、私についてきてくれない?」

と言ってきた。

そして、俺は少しため息をついて

「はあー、わかったよ」

と答えるのだった。

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