第35話
俺は、今度は生徒会室の生徒会副会長の席ではなく教室の自分の席で死んでいた。
なんなのだろうか、この学校って頭可笑しいじゃないか?それに、なんで俺だけこんなに時間かかるかなー、同じ仕事をやってるはずの麗華は終わっているって言うのに……
「…………生徒会の仕事よりか少ないはずなのになー」
俺は独り言のつもりで言ったつもりだけど、隣の麗華が
「そんなに、生徒会の仕事って多いんです?」
「ん、ああ、そうだね。この委員長の仕事の9倍ぐらいかな?だから、こんなの余裕って思ってたんだけどね…………蓋を開けてみればこんな感じさ」
「9倍ですか。それは、多いですね。ふふ、それで佑樹は、余裕だと思ったんですね。佑樹ってもしかして馬鹿ですか?」
「馬鹿じゃないし!思うだろ、普段これの何倍もの仕事やってるなら余裕で終わるなってさ」
「そうですかね?よく考えてみてくださいよ。仕事に量ってあんまり関係ないですよ。だって生徒会の仕事と委員長に仕事ってやってること違いますからね」
「確かに…………、そういえば、麗華は生徒会とか興味あるのか?」
「生徒会ですか…………興味がないってわけじゃないんですけど、生徒会って大変なんですよ。だから、やりたいかって聞かれたらやりたくないと答えると思いますよ」
これで、1人の可能性がなくなってしまった。
…………誰かいないかなー、華撫に勝てる程の人って…
「そうか」
「なんで急にそんなこと聞いてきたんですか?」
「なんとなくだよ」
それにしてもヤバいじゃないか、このままでは華撫が生徒会長になるよ……俺が出るしかないのか…ってそれ本末転倒だよな……どうしたものか
「佑樹、委員長の仕事終わるんですか?」
「あ!」
俺は、今さらながら自分の手が止まっていることに気づいた。
「ふふ、終わらない様子ですね、私が手伝ってあげますよ」
「あ、ありがとうございます」
それから、麗華のおかげですぐに仕事は終わった。
……この人スペック高過ぎだわ。
そんな風に思ってしまった。
「仕事も終わったことですし、帰りますか」
「そうだな」
そして玄関までついたから
「じゃあ、また明日」
と言って帰ろうと思っていたのに、
「私を家まで送ってはくれないのですか?」
ととても悲しげな表情で言われてしまった。
俺にはそのまま1人で帰るということができず
「ええ、勿論送りますよ」
と答えた。
なんというか俺って、チョロいと思う。
学校を出てすぐに麗華がこんなことを聞いてきた。
「ねえ、佑樹、私のことどう思います?」
「それはどういう意味?」
「私って、社長令嬢だから皆からは、どこか引いた感じで見られている気がしているんです。でも、佑樹はそんな感じがしなかったので、どうなのかなーと思いまして」
「どう思っているかっか……俺は普通に可愛い女の子だと思ってるよ」
「そうですか。可愛いですか…………ありがとうございます」
麗華は少し頬を赤く染めた。
…………可愛いって言われるのってやっぱり嬉しいことなのかな?
まあ、その辺はよく分かんないわ。
俺はふと疑問に思ったことを聞いた。
「そういえば、麗華って迎えは来ないんだな」
「いえ、いつもは来てもらってしますよ。でも、今日は来てもらってないだけです」
「へえー、そう。たまには歩かないとだしね」
「…………佑樹は鈍感過ぎる気がします……」
「ん?なにか言った?」
「言ってませんよ。佑樹は無能な気がするって言っただけですから」
「それって言ってるじゃないか、あ、麗華の家ってあれだよな」
麗華の家はすぐに分かった。
だって周りの家よりも数十倍の敷地があるじゃないかって思わせる家だったからね。
「そうです。どうです私の家?」
「それはどういう意味?」
「大きくてびっくりしたでしょうって意味ですよ」
「そうだね。俺が住んでいる家よりかだいぶ大きいな」
でも、俺はこんな大きい家には住みたくないかな……だっていろいろと面倒くさいだろうし。嫌だなと言おうとした時に麗華が
「そうでしょう」
と言ったので言うのをやめておいた。
「じゃ、俺帰るから」
「え?家に入ってはいきませんか?」
「うん、俺も家でやることとかあるしね。だから、また今度誘って」
「はい、分かりました」
そして俺は家に帰った。
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