第31話

「どうぞ」

そう言って出してくれたのは、とってもおいそうな麻婆豆腐だった。

「おいそうですね」

「そうでしょ」

ちなみに、真琴ちゃんは未だに寝たままです。

「はい。どうやったらこんなおいしそうに作れるんですか?」

「どうやってたら作れるか?んーとね、それは秘密かな」

「そうですか」

なんか、この人謎多いな。

「そんなことより早く食べてよ。私としても早く感想聞きたいしね」

「はい、わかりましたよ」

そして、俺はスプーンでひとすくいして麻婆豆腐を口にいれた。

口にいれた瞬間、少しピリッときて辛いなーと思ったけど、普通に美味しかった。

「これの素って市販のやつですか?」

「そうだよ」

それなら、すごいな。どうやったこんなに美味しくできるんだろうか。

俺が前に作った時は、こんなにも美味しく出来なかったんだけどな。

「本当、どうやったら、こんなに美味しく作れるんですか?」

「さっきも言ったけど、秘密だね」

「そうですか」

それから、お互い食事に集中した。


「ご馳走でした」

「お粗末さま」

華撫の麻婆豆腐はすごく美味しかった。

もし、もう一回こういう機会があるならもう一回食べたいなーと思った。

「して、和泉君」

「はい、なんでしょうか?」

「君は、生徒会になぜそんなにも興味がないのかな?妹さんの方は、興味津々なんだけど?」

「え?華撫は、人を見抜くことが上手いって聞いたんですけど、八兎から」

「そうなの?八ちゃんそんなこと和泉君に言っていたんだ。そんなこと言わなくてもいいのに。まあ、確かに、私は人を見抜くこと他人よりも、上手いとは思うよ。でも、他人よりか上手いだけ、全てが分かるわけじゃないんだよね。だから、知りたいんだ。なんで興味がないのか」

「なんで知りたいですか?」

「それは、生徒会長としてね」

「それ嘘ですよね。だって自分でも言ってましたもんね、俺をってね」

「ぅ!そ、そんなこと覚えてなくてもいいのに」

「で、本当の理由は、なんですか?」

「言わないとだめ?」

「はい」

「わかったよ。言うよ。私は、君をだから、そのためには、君がなぜ生徒会に興味がないのかを知っておきたいの」

「つまりは、俺のを考えたいからですか?」

「まあ、そういうことかな」

「じゃあ、言いいますよ。なぜ俺が生徒会に興味が全くないのかを」

「よろしく」

「俺は、中学校1年生のころ。先生から、生徒会選挙に出てみないか?と言われました。その時の俺は、生徒会に興味がものすごくありました。だから、出ますと即答した。それから、俺は一生懸命に公約を考えました。どうやったら学校がよくなるだろうかと。俺は、自分が考えた公約は、良くできていたと思っていた、だから、先生にもいい公約だなと言われたんだと思います。でも、選挙の結果は、生徒会に入ることが出来きなかった。それが、もし、それが俺よりもいい公約だったら良かったのかもしれない。でも、違った。生徒会に入った全員が、掃除の時間を無言でやるというもだった。結局は、生徒会選挙っていうものは、だ。だから、俺は、生徒会に興味がないんです。誰が、生徒会に入ろうとなにも変わらない。誰がやったところでそこに差は生まれないからです。つまり、俺は生徒会に対してすごく悪いイメージしかないんです」

「そうなんだ。だから、生徒会に興味がないんだ」

「はい。これで、俺の攻略方法は、見つかりましたか?」

「完全には分かっていないけど、君を攻略する上での一番大事なことは、わかったよ」

「それは、なんですか?」

「それは、君に、をなくしてもらうこと。だから、生徒会副会長として頑張ってもらおうか」

生徒会の悪いイメージか。

でも、俺が持っている生徒会に対しての悪いイメージは、たぶん華撫が考えているよりも、深いと思う。けど、ここで折角手を差し伸べてくれたのだから、挑戦してみることは、たぶん必要なことだから、

「はい、俺なりに頑張って見ますよ」

と言った。

◇◆◇◆

あの後、俺は、少しだけ華撫と雑談をして、俺は、結局真琴ちゃんをおんぶして華撫の家をあとにした。


「ん、あれ、私なんで佑樹くんにおんぶされてるの?」

「ん?ああ、やっと起きたんだね、真琴ちゃん。えーとね、真琴ちゃん、華撫に勉強教えた後すぐに寝ちゃったんだよ」

「え、そうなの?」

「うん、真琴ちゃん華撫と一緒に降りてきたと思ったら、すぐに寝てたよ」

「そっか」

それから暫くの間お互いになにも話さない時間が続いた。

もうすぐ家に着くころだろうか。

俺の後ろから寝息が聞こえたのは。

「本当、華撫は真琴ちゃんにどんな風に勉強を教えてもらったんだよ」

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