第28話

家に帰って、すぐだった。俺に電話がかかってきたのは。

家に帰ってきたばっかで、麻琴ちゃんが前にいたから、電話に出るか迷ったけど、麻琴ちゃんが別に出てもいいよと言ったから、電話にでた。

「もしもし、どちら様でしょうか?」

『私だよ、私』

「なんですか、新手の詐欺かなんですか?それなら、俺普通の高校生なんでお金振り込まないですよ」

『ひどいなー、私、伊藤華撫だよ』

「え!本当ですか⁉」

『本当本当』

「そうですか、でもなんで俺の電話番号知っているんですか?」

『はは、もしかして君って忘れやすいの?』

「なにがです?」

『まあ、いっか。じゃあ、言ってあげるよ。とあるルートからね』

「とあるルート?………………………あ!思い出しましたよ!」

『それはよかった』

「それで、なんの用ですか?」

『もう、なになんでそんな冷たいわけ?』

「そうですか」

『むー、なんか、和泉君が冷たい気がするけど、明日のことってもう妹に言ったんだよね?』

明日こと?あ!明日、麻琴ちゃんが生徒会室の行くやつか!

「わ、忘れてなんかいないよ」

『その様子だと図星だったみたいだね』

「ず、図星じゃないし!」

『ふふ、そう。で、これから和泉君に電話をかけた本当の理由を言いたいんだけど、いいかな?』

「いいですよ」

『明日は、生徒会室じゃなくて、私の家に来て』

「は?」

今この人なんて言った?生徒会室じゃなくて、私の家に来て?

ってことは、もしかして俺も行かないと行けないとかそういう展開になるわけ⁉

『って、ことだから、和泉君も一緒に来てね』

俺の予感が当たってしまった瞬間だった。

「い、いやちょっと待ってください!俺華撫の家知らないんですけど?」

『それについては、安心してくれて構わないよい。もうじき、郵便で届くと思うから』

なんなの、この人!ってか、郵便⁉この生徒会長は、なんで俺の住所知っているわけ?怖いんだけど!

「そ、それなら俺必要ないんじゃないですか?」

『………………………………………………』

あ、切りやがった!

くそ!これって俺一緒に行かないと行けない?

郵便で地図かなにか届くなら、麻琴ちゃんにそれだけ渡して、1人で行ってもらうとか駄目なの?

「ねえ、佑樹くん、華撫って誰?」

麻琴ちゃんが涙目でこっちを見ながら、そう言った。

「え?………………」

「もしかして、新しい彼女?」

あれ?なんかこれ、既視感デジャブだわ。

っていうか、なんなの、俺って麻琴ちゃんからしたらなんなの、女の子と電話しただけで、新しい彼女なのとか言われても困るんだけどなー。

「もう、私いらない?」

「いやいや、そんなわけないからね!あと、華撫は、生徒会長だから!」

「え?生徒会長?それ本当?」

「本当も本当だよ。うん、これは命に誓って言えるね!」

「でも、なんで生徒会長って先輩なのに、華撫って名前呼びなの?」

「そ、それは、華撫にそう呼べって言われたからだよ!」

「そう、よかったー。私、捨てられちゃったのかと思ったよ」

いや、だからね、捨てられるとか言わないでくれないかな!こっちの心臓の心配もして欲しいよ!

今、明日のこと言うべきなのではないか!

そう決断すると、俺の行動は早かった

「麻琴ちゃん、明日一緒に、華撫の家に行かないかな?」

「なんで?」

「いや、それが………………これは、誰にも教えちゃ駄目だからね、実は華撫は、勉強が苦手なんだ」

「え、そうなの?」

麻琴ちゃんは、意外そうな顔をした。

そうだよね、だってあの生徒会長さん如何にも勉強できますよって感じしてたし。

「でも、なんで私なの?他の人は?例えば、クラスメイトとか」

「これも、また言いづらいんだけど、華撫って1年生から生徒会長だったみたく、クラスメイトから怖がられているだとさ」

「それで、私に白羽の矢が立ったてこと?でも、それだとおかしくないかな。だって、私と生徒会長接点ないよ?」

「ああ、それについては、俺が麻琴を推薦したんだ」

「私を推薦?」

「そ、だって華撫最初俺に勉強教えてとか言ってきたもんだからさ、それは難しいなーと思ってね。それで、麻琴ちゃんって生徒会に興味あったでしょ。なら、生徒会長と話せる機会そんなにないものだからし、麻琴ちゃん俺よりか頭いいでしょ。だから、麻琴ちゃんを推薦したんだ」

「確かに、私は生徒会に興味があるし、生徒会長と話せることってなかなかないことだし………………うん!わかった。いいよ、明日一緒に生徒会長の家の行こ」

「ありがとう」

かくして、俺たちは明日、華撫の家に行くことになった。

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