第25話

家を出てすぐ麻琴ちゃんが

「で、どこ行くの?」

と聞いてきた。

「猫カフェだよ」

「猫カフェ?」

「そう。だって、麻琴ちゃん猫好きなんでしょ?」

「そうだけど…………もしかしないで、猫カフェに行くことになったのって、お義母さんがあんなこと私に聞いたから?」

「ん?なんのことかな?」

俺は、苦し紛れにとぼけた。

「で、そうなんでしょ?」

「………………知らないよ」

「ふーん、そういうこと言うんだ。じゃ、行くの辞めようかな」

「え⁉そ、それだけは、やめて!」

「やだね!だって、佑樹くんが本当のこと言ってくれないもん!」

「…………わ、わかったよ!麻琴ちゃんの言うとおり、お母さんが麻琴ちゃんになにか、好きなものとかあるのって聞いてて、それで、麻琴ちゃんが猫好きってことがわかって、俺はチャンスだって思ったから、猫カフェに行くことにしたんだよ」

「ふふ、そんな詳しく言わなくてもよかったのに。まあ、別にいいよ。佑樹くんが考えてくれたやつでも、そうじゃなくても、佑樹くんから誘ってくれただけで、嬉しいことだからね。でも、佑樹くんが自分で、考えてくれた方が嬉しかったけど」

「…………」

「ま、ともかく行こう。佑樹くん!」

そう言って、麻琴ちゃんは、俺の笑顔でこっちに手を差し出してきた。

「うん!」

そして、俺は麻琴ちゃんの手を取った。

こうして、俺の埋め合わせが始まった。

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