第21話

外食先は、近くのファミレスだった。

少し豪勢なところにでも食べに行けるのではとか思っていた俺として少し残念な気持ちになった。

「?どうしたの、そんな浮かない顔して?」

「ん?ああ、なんでもないよ。唯ちょっとだけ思っただけだよ」

「なにが、唯ちょっとだけ思ったことなの?」

「えーと、それは……あ!俺トイレに行きたかったんだ!」

俺は、この状況から脱出するべく食事中にも関わらずトイレに行くと言ってこの場から逃げたのだった。

………これって、デリカシーがないよな

そう思う俺だったが、今さらそんなこと考えたところで無駄だったので、そそくさとトイレに逃げ込むのであった。

◇◆◇◆

そして、俺がトイレから戻ってくると。

なんと、そこには、パスタやピザといったイタリアンな料理があった。

「美味しそうだな」

「あ、佑樹君帰ってきたんだ。でも、これ佑樹君のじゃないから」

「それは、どういう意味?」

「ふん!知らない!佑樹君は、食べちゃ駄目だからね!」

何故か、麻琴ちゃんの機嫌が悪いような気がする。

「もしかして、怒ってる?」

「知らない!」

それから、なにを言っても麻琴ちゃんから知らない!の一点張りだった。

……ほんとなんでこんなに急に機嫌が悪くなっているのやら。トイレ行く前はこんなじゃなかったのに。

ん?トイレに行く前?ってことは、俺が食事中にも関わらずトイレに行ったことに麻琴ちゃんは怒っているのか。

まあ、そうだよな。食事中にトイレに行くなんてほんとデリカシーなんてものないしな。

ひとまずここは、謝っておくか

「ごめん!さっき、トイレ行って!」

「っな!なにを言っているの佑樹君は!」

麻琴ちゃんは、顔を真っ赤にしながらそう言う。

「麻琴ちゃんさっきからなんか、俺こと怒っているだろ?だから、考えてみたんだけど、麻琴ちゃんの機嫌が悪くなったのって、俺がトイレに行った後だったから、デリカシーがなかったなーと思ったからだけど?違った?」

「そ、そんなことで、私怒ったりしないから!それに、今トイレの話出す方がよっぽどデリカシーないからね!」

「…………」

「もう、知らない!佑樹君のバカ!」

それからと言うもの麻琴ちゃんは一向に口を開こうとしず、家族全員での、夕食は終わってしまった。

ちなみに、俺は別で、ピザを頼んで食べた。

……トイレのことじゃないなら、ほんとなんで、麻琴ちゃんはあんなに機嫌が悪くなったのやら……

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