第16話

「和泉君、君は、なにを言っているのかな?」

華撫先輩が首を傾げてそう俺に聞いてきた。

「?俺なんか変なこと言いました?」

「言ったよ。俺の妹に教えてもらってとか」

「はい。そういいましたね。なにか変なことでも?」

「変だよ。だって、私は、君に勉強を教えてと言ったんだよ」

「そうですね」

「じゃあ、なんで、そこで妹さんが出てくるのかな?」

「ああー、そういうことでしたか。実はですね。妹の方が俺よりか頭もいいですし、たぶん教えるのも上手いと思ったので」

「?妹さんって、同学年なの?」

「はい。1年1組の和泉麻琴っていいます」

「へえー、麻琴さんね。それは、わかったんだけど、私としては和泉君?教えてもらった方がなにかと都合がいいんだけどね」

「俺に教えて貰えると都合がいいですか?」

「そう。だって、和泉君は、生徒会副会長なわけでしょ。だから、生徒会長の私とよくいるわけで、だから、仕事の合間とかに勉強教えて貰えるわけ」

「俺まだ、生徒会副会長になるって言ってない気がするんですけど……」

「そうだけー。まあ、それは、おいとくとして、もし、和泉君の妹さんの麻琴さんに教えてもらうことになると、時間があわない気がしてね」

「ああー、そのことなら、大丈夫ですよ。実は、妹も生徒会入りたがっているので」

「え?そうなの」

俺は、正直、麻琴ちゃんが、生徒会に入りたがっているってことを言うか迷った。

だって、そうしたら、麻琴ちゃんと一緒に生徒会になるわけだし。でも、生徒会に、勉強を教えるよりかは、よっぽど麻琴ちゃんと一緒に生徒会の仕事やった方がいいと思ったから言った。

「そうなんですよ。だから、その華撫先輩の心配していることは、妹を生徒会に入れれば、解決するってわけですよ!」

俺は、ここぞとばかりに、麻琴ちゃんを生徒会に入れることを押す。だって、華撫先輩に勉強教えるとか無理だからね!

「わかりました。妹さんを生徒会に入れるかどうかは、その子と話してからにして、というか、妹さんって生徒会に入りたいってことは、生徒会に興味があるってことだよね」

「はい。そうですね」

そこで、俺は、気づくのだった。この生徒会長は、生徒会に興味がない人の方がいいのだと。

「まあ、ともかく、妹さんに今度の日曜日に生徒会室に来るようの言っておいてね」

「え?日曜日ですか?」

「うん、なにか問題でもある?」

「いや、ないと思いますけど」

「なら、よし!ってことで、そろそろチャイムも鳴ることだし、お開きにしようか」

「はい」

そうして、俺は、生徒会をあとにした。

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