第15話

なにを言っているのだろうか?この人は。

俺に勉強を教えて欲しい?意味がわかんない。

「あのー、なにを言っているのかわかんないんですけど……俺に勉強を教えて欲しいとか」

「言葉の通りだよ。私に勉強を教えて欲しいの」

「それは、わかりましたけど、何故俺なんでしょうか?八兎先輩とかいるじゃないですか」

「そうなんだけど……八ちゃんは、私とレベルが違うっていうかなんというか……ともかく、八ちゃんには、私の脳じゃついていけないの」

つまりは、こういうわけか。

この生徒会長は、頭がよくない。で、たぶん、他の生徒会役員の人たちとじゃあ、だいぶレベルが違う。で、俺に白羽の矢がたったわけか。

「なんとなくは、わかりましたけど。でも、なんで俺なんですか?八兎先輩や他の生徒会役員の人が駄目なら、クラスメイトとかいいいのではないですか?」

「いやー、まあ、それは、ごもっともなことなんだけど、私1年生から生徒会に入っているでしょ。だから、私って、クラスメイトから、怖がられているというか、まあそんな感じなの」

クラスメイトから、怖がられているってなんか悲しいなこの人!

「わかりました。でも、俺にも一つ提案があるんですけど、いいですか?」

「?別にいいけど」

「それは、よかったです。一つだけ条件があります」

「条件?」

「はい。この条件を飲んでくれるなら、俺の提案を教えてあげます」

「わ、わかった」

「じゃあ、聞きますよ。……ずばり、生徒会ってどうやって入るんですか!」

「へ?え、そんなこと?」

「はい。そんなことです」

「そうなんだ。でも、なんで佑樹君がそんなこと聞くの?だって、佑樹君って生徒会に興味ないんでしょ?」

「はい、俺は、生徒会に興味なんてないんですけどね。知り合いに、この前聞かれたので」

「そう。じゃあ、教えてあげます。生徒会は、生徒会長が、入れることもやめさせることもできます。で、生徒会長は、半期ごとに、生徒会長選挙で決めます」

なんのだろうか。この学校は。

生徒会長が、入れることもやめさせることもできるって、生徒会長の力強いすぎだろ。

「佑樹君?聞いてた?」

「はい、聞いていましたよ。なんか、この学校の生徒会について、適当だなーと思いました」

「そうかなー、私は、いい制度だと思うけどな。まあ、考えてかたなんて人それぞれだしね。で、提案ってなんなの。佑樹君?」

その時俺は、何故か唐突にこう思うのだった。

──佑樹君って呼び方、麻琴ちゃんとかぶってない?

と。だから、こんなことを言った。

「唐突ですいませんが、佑樹君って、呼び方変えてくれません?」

「むむ、なんで?というか、本当唐突だね」

「なんとなくですね。なんか、名前で呼ばれるって気恥ずかしいというか、そんな感じですね」

「そう、なら、いいよ。じゃあ、なんて呼べばいい?」

「えーと、和泉君とかですかね」

「わかった。じゃあ、提案っていうのを言ってくれる?」

「はい。提案というのは、俺の妹、和泉麻琴に教えてもらってください!」

「はい?」

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