第13話

「なんで、こんなに帰って来るの遅かったの‼」

真琴ちゃんが、目を潤ませて、そう言ってきた。

でも、俺は、別に帰ってくるのがさして遅いと思っていなかったから

「え?そうかな?まだ、18時だけど?」

と言うのだったが、

「遅い!」

真琴ちゃんはそう言うのだった。

「そうかな?」

「遅いもんは、遅いの!で、なんでこんなに帰ってくるの遅かったの?」

「え、えーと、きっさ……学校の図書館にいたんだよ」

「そうなの?でも、きっさと言わなかった?」

「言ってないよ。うん、言ってない」

「そうかなー、私の聞き間違い?」

「うん、麻琴ちゃんの聞き間違いだよ」

ふー、危なかった。危うく喫茶店と言うところだったよ。

そんな時だった。俺のズボンのポケットから非通知と表示されたスマホが落ちた。

「佑樹君、電話かかってるよ?」

「あ、うん」

俺は、スマホを拾って電話にでた。

『あ、もしもし、佑樹君』

「せ、生徒会長!?」

『そんな、驚かなくてもいいと思うけどなー。そんなことよりも、生徒会長ってやめてくれない』

「じゃあ、なんて呼べば?」

『華撫でいいよ』

「いや、それは、先輩ですし無理ですよ」

『そう、じゃあ、華撫先輩で』

「はー、それなら」

『じゃあ、一回言ってみて』

「え?いや、それは、無理ですよ。なんか恥ずかしいですし」

『そう』

「?っていうか、なんで俺の電話番号を知ってるんですか?」

『あー、まあ、とあるルートから』

「と、とあるルートってなんですか!?」

『とあるルートは、とあるルート』

「教えるつもりないんですね」

『そういうこと』

「で、俺になんか用ですか?」

『うん、明日7時30分生徒会室に来て』

「え?それは、無理ですけど」

『なんで?』

「だって、その時間まだ俺寝てる気がするしますし」

『ふーん、そう。私の言うこと聞けないんだ』

「そ、そういうわけではなくてですね」

『じゃあ、どういうことなの?』

「どういうことってわけではなくてですね。はぁ………電話を長く続けるのもどうかと思いますし、俺明日の朝生徒会室に行きますよ」

『よろしく』

「はい。では、失礼します」

そして、電話は終わった。

最後に『ふふ、これでこそ、私が見込んだ男だね』とか聞こえた気がするけど、たぶん俺の聞き間違いだよな。

「ねえ、佑樹君電話は終わった?」

「うん、終わっ………たよ?」

そこには、目に涙を浮かべた麻琴ちゃんがいた。

「え、え、えーとなんで泣いているの?」

「だ、だって……佑樹君、もう私のこといらないんでしょ」

「え?どういうこと?」

「だ、だから……さっきの電話の人………あ、新しい彼女なんでしょ?」

んんん???新しい彼女?

な、なにを言ってるのかな麻琴ちゃんは?

あ!もしかして、さっきの電話してた華撫先輩が、新しい彼女だって思ったってことか。

っていうか、新しい彼女も俺彼女いないんだけどなー。ここは、とりあえず、彼女ではないって言っておけば問題ないはず。

「別に彼女じゃないよ」

「じゃあ、誰?」

「生徒会長かな」

「え?生徒会長さん?って、私たちの学校の?」

「うん。そう、俺たちが通っている学校の生徒会長」

「そうなんだ。でも、なんで佑樹君と生徒会長が知り合いなの?」

「えーと」

これって、正直に言うべきなのか?

いや、でも正直に言うと、ラブレターみたいなのを貰ってとかそういうことも言うわけだよな。

そうすると、また麻琴ちゃん泣きそうだし……生徒会長に生徒会副会長にならないかって言われことだけ言おう。

「生徒会副会長にならないかって言われた」

「え、佑樹君凄い!生徒会入るの!じゃ、じゃあさっきのは、それについてなの!」

「う、うん。まあそんなところだね」

「佑樹君すごいね!生徒会に入れるなんて!」

「そうだね」

麻琴ちゃんは、唐突に手をポン!と叩くと

「そっかー。佑樹君が、生徒会副会長か。うん、決めた」

「え?なにを?」

「佑樹君よく聞いてよ」

「わかった」

麻琴ちゃんは、俺に向かって、ビシっと指差してこう言った。

「私ね、生徒会に入る」

「え?」

「むー、なんかわかってみたいだから。もう一回言ってあげる。私ね、生徒会に入る!」

「そ、それって、ほんと?」

「本当だよ。っていうか、嘘つく理由ないよ?」

「あ、うん。そうだね」

麻琴ちゃんが生徒会に入る!?そ、それって、つまり、あの人たちと麻琴ちゃんが一緒に仕事をするってこと。生徒会長とか、なんかヤバい感じあったし。これは、どうにかして阻止しなくては。

「麻琴ちゃん、生徒会に入るのやめない?」

「なんで?もしかして、私と一緒じゃ嫌なの?」

「いや、そういうわけじゃなくてね。そう!うちの学校っていちおう進学校なわけじゃん。そうするとだよ、生徒会に入ると勉強が大変になるでしょ」

「それいうなら、佑樹君も一緒だし」

「あ、そうだった」

「っていうか、私佑樹君より頭いいし。生徒会に入らなくても、部活には入ると思うから一緒だと思うけど」

「ぅ!た、確かにそうだった…」

そうだよ!麻琴ちゃんって俺よりか普通に頭いいじゃん!部活に入るなら、なんなら、体力とか使わない、生徒会の方がいいじゃないか。

「っていうことだから、私生徒会入るからね。あ、でも生徒会ってどうやって入るんだろう?」

あ、確かに言われてみれば、どうやって生徒会って入るんだろうか。俺のは、例外として。

生徒会選挙やって、生徒会長だけ決めてほかの役員は、生徒会長が決めるとかそういうのなのか?それとも、全役員生徒会選挙で決めるとか?

ん?でも、その2つだとおかしくないか?

なんで、俺生徒会に入れるわけ?

「佑樹君は、どうやったら、生徒会に入れると思う?」

「さっき考えてみたんだけど、2つ考えてが出てきて、でもその2つだと、俺が生徒会に入れるはずがないんだよね」

「そっかー。まあ、明日にでも、先生に聞けばわかるよね」

「そうだね」

「うん!じゃあ、そうと決まれば、夕食食べに行こっか。佑樹君」

「うん、そうだね」

そして、俺たちは、温かいご飯がおいてあるだろうリビングへと向かった。

ちなみに、今日のご飯は、麻婆豆腐だった。

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