第4話

俺と麻琴ちゃんが会った日は、雲1つとしてない、晴天の日だった。

あの時は、まだ中学3年生で、受験生であった俺であるのだが、俺は、なにを思ったのか、ゲームにはまっていた。

だから、寒いと思いながらも、毎日のように、ゲーセンに通っていた。

俺はいつものように、しっかりと防寒具を着けて、ゲーセンに行った。

ちなみに、俺のその時のゲームの腕は、まあ上手かったじゃないかなーと思う。まあ、自分で言うのもどうかと思うし、でも、一つだけ自慢できるゲームがあった。そのゲームとは、アニメで人気を博し、ソシャゲになり、そのあとにアーケードゲームになったアニメ。

それが、『レイン・ライン』だった。

『レイン・ライン』とは、いわゆるアイドルが活躍するアニメであった。だから、アニメ中にも何個も挿入曲があって、その他にもアニメのBD&DVD初回限定盤には、キャラクターソングなども収録されている。

たぶん、数えたら、40曲ぐらいあると思う。

もう、分かっていると思うが、アーケードゲーム版『レイン・ライン』は音ゲーだった。

それで俺は全国3位だったのだ。

自慢できるゲームではあったけど、なんということか俺は、何回やっても3位しかとれないのだ。

だから、あの日も絶対今度こそ、1位になってやる!とか思って出掛けたんだと思う。

今の俺じゃあ考えられないほどの行動力だったと思う。

そして、俺は、ゲーセンに入るなり、すぐさま、『レイン・ライン』のゲーム(公式からは、レランとされているが、あまりこのゲームをレランって呼ぶ人はいない、なんか、略さないほうがいいから的な理由で)が置いてあるところに行ったのだが、先客がいた。

俺は、なにもしずにここで待つのも退屈だし、ほかのゲームでもやるかと思った時に既視感デジャブを感じた。

そう、レイン・ラインのゲームをやっているに。

その少女は、黒いとても綺麗な髪に少し汗をつけながら髪をたなびかせ、レイン・ラインのゲームをプレイしている。

身体は少し小柄で、153cmぐらいだ。

そこで、俺は思い至るのだった。

俺の通っている戀銘れいめい中学校にも、髪が黒くて、少し身体は小柄であるけど、可愛いといわれている、学校のアイドルと言っていいほどの女の子の名前を。

その子の名前は、御樹麻琴みずきまこと

でも、俺は、この目の前でレイン・ラインのゲームをやっている少女が御樹麻琴だとは思えなかった。

理由は至って簡単だった。

印象が違い過ぎた。それに尽きていた。

学校での、御樹麻琴のイメージは、清楚な感じで物静かっていうイメージだ。

でも、今俺の目の前にいる少女は、清楚な感じで物静かって感じか?それは、否だ!だって、物静かな子がこんなうるさいところにくるはずがなもんね。

でも、次の瞬間俺の中で、既視感デジャブから現実リアルに変わったのだった。

フルコンボという美姫みきちゃん(レイン・ラインで、1番人気があるキャラ)が言ったあと、少しではあったけど、こっちを振り返ったのだった。

だから、フルコンボをした少女が御崎麻琴だということがわかったのだ。

それから、あっちもこっちの存在に気づいて、あわあわした様子で、もの凄く「こ、これはね!そのー、私じゃないの!」とか「今のことは忘れて!」

とか顔を真っ赤にして弁解してきたっけ。

これが、俺と麻琴ちゃんが出会ったきかっけだ。

それからというものゲーム仲間としてある時は、ライバルとして残り少なかった中学校生活を過ごした気がする。

まあ、さすがに、入試が近くなってゲーセンに行かなくなって、その流れから、もうここ最近はゲーセンに行ってないんだけどね。

「ねえ、なんかさっきからなにを考えていたの?」

「ん?ああ、ゲーセンに行くから麻琴ちゃんと出会った時のことを思い出してた」

「そう。あの時の私って、佑樹君から見て清楚系女子だったんだよね!」

「うん、そうだね。だって、中学校の時の麻琴ちゃんってなかなか関わることなかったし、それに見ても読書しかしてなかったしね」

「えー、そうだっけ?私もっと、学校でもハッスルしてた気がするけどなー」

「いやいや、全然してなかったよ」

「そうだけー、あ!佑樹君ゲーセン見えてきたよ!」

「そうだね」

「よぉーし!久しぶりにレイン・ラインで戦おうっか佑樹君!」

「うん、でも俺もブランクはあるけど、負けるつもりないからね」

「望むところ!」

こうして、俺と麻琴ちゃんの勝負の幕は開けた。

昔話は、途中で終わっちゃったけど、まあ、また今度時間がある時に麻琴ちゃんと話したいな。

◇◆◇◆

そして、場面は、アーケード版『レイン・ライン』の機械の前にいる。

「よぉーし!私、勝つからね!」

「俺が勝たせてもらうよ。って言いたいんだけど、麻琴ちゃんこのゲーム全国1位だったよね」

「そうだね!あ、ちなみに、2位も私だよ!」

「え?2位も!?」

「うん、そうだよ。あれ、言ってなかったけ?」

「言ってなかった」

「そっかー、でも佑樹君にブランクがあるように、私にもブランクあるからね、だから正直勝てるかわかんないよ」

「そっか、まあ、俺も3位だったし、勝てるかもしれない」

「うん。じゃあ、ゲームを始めようか!」

「ああ!」

◇◆◇◆

結果は、俺の惨敗でした!

まあ、当然といえば当然な気がするけどね!だって、俺全国3位だったけど、2位とのさ、スコア250ぐらい違ったもんね!

あの時勝てるのではとか思っていた俺を殺したい!

「はあ、まだまだだね。佑樹君」

「っく、な、なにがブランクがあるだ!普通にフルコンボしてんじゃん!俺は、10回もミスったって言うのに」

「それは、実力ってやつだよ」

「っく、くそ!も、もう一回だ!」

「いいよ。でも、私が勝つから」

「言っておけ、俺が今度こそ勝ってみせる!」

「「じゃあ、ゲームスタート!!」」

数分後

アーケード版『レイン・ライン』の機械の前、座っている人がいた。

誰かって?そんなの簡単、俺だ。

あの後、3回ぐらい挑んだけど、全敗した。

しかも、麻琴ちゃんに至っては、全部フルコンボだったのだ。

「ねえ、なんなの。全部フルコンボって、チートなの?」

独り言として言ったつもりだったけど、麻琴ちゃんの耳にも聞こえていたみたいで

「チートじゃないよ!実力!」

と言ってくるのだった。

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