第3話

家を出てすぐに問題が発生した。

どんな問題かというと、それは、行くとことを決めてないということ。

まあ、デートじゃなくて、買い物なわけだしショッピングモールにでも行けばいいよな。

「で、今日は、どこに連れてってくれるの、佑樹くん?」

「ああ、ショッピングモールに行こうと思ってる」

「駄目!」

「え?なにが?」

「だから、ショッピングモールに行くのは駄目って言ってるの!」

「なんで?」

「わかんないんの?」

「うん、わかんない。だって、今から行くのはデートじゃなくて買い物だよ。なら、ショッピングモールの方が安いし、それに服とか本屋とかいろいろとあるし、ってことでなにがショッピングモールが駄目なのかわかんないな」

「はあ?なにを言ってるの?佑樹くんは」

「なにも、おかしなことは言ってないけど?」

「だって、これは、買い物じゃなくて、デートなんだよ」

「?」

なんか、雲行きが怪しくなって来た気がする。

「だから、そんなありふれた、普通のショッピングモールに行くとか駄目なの」

あれ?俺しっかりと麻琴ちゃんが着替えに行く前に言ったはずなんだけどなー『これ、デートじゃないからな!』的なことを。で、麻琴ちゃんはこう言ったはずだ。『わかってるよ、お兄ちゃん』って。

ってことはだよ、これは買い物ってことだ。

「麻琴ちゃん」

「なに?なんか、別に行くところ決まったの?」

「決まってない。というか変えるつもりない」

「なんで?」

なんか、麻琴ちゃんの笑顔が妙に怖いぞ。

「だってさ、これデートじゃなくて買い物だからね」

「え?なにを言ってるの?」

「いや、だからこれはじゃなくてだって言ってるの」

「なにを、言ってるのかしら。お兄様」

一回も俺のことお兄様なんて呼んだことないだろ!

それに、まだお兄ちゃんだって一回しか呼んでもらえてないし。

「だから、麻琴ちゃんだって、しっかりわかったって言ったように、これは買い物なの!」

「ふふ、嘘だよね?」

「嘘じゃない」

「ええぇぇぇえぇぇぇ!!!!!」

その時麻琴ちゃんの甲高い声が街の道路中に響いた

「嘘だよね!嘘って言ってよ!佑樹くん!これは、買い物じゃなくてデートだって」

「無理」

「な、ななななんで、あれ?私たちって恋人だよね!」

「いや、違う。兄妹だ」

「嘘!だって、あの時言ったもん。恋人になろうかって。だから、私と佑樹は、彼氏彼女の関係つまり、恋人!これに間違いないよね!」

いかん、この子壊れ始めている。

「だ、だから、今こうして一緒に、私はおめかしして出掛けているんだよね?」

本当にやばい、このままでは、完全に壊れてしまう。それは、もう回復不可能なまでに。

でも、どうすれば、治るんだ。この、壊れちゃった女の子って……

「まあ、ともかく落ち着つくために、あの公園に行こうか」

「嫌!この間違いを直してからじゃないと」

もう、我儘が過ぎるぞ。この際、少々恥ずかしいが、お姫様抱っこでもしてベンチまで運ぶとするか。

「よこらせっと!」

「ちょ!な、ななにしてるの!」

「お姫様抱っこ」

「あぅー、そ、それはわかってるけど……なんで?」

麻琴ちゃんの顔はもの凄く真っ赤に染まっていた。

顔赤くなると、麻琴ちゃんってめっちゃ可愛いな」

「っか、可愛いだなんて……」

ありゃ、俺声に出して言っていたのか。

まあ、そんなことより、まずは、麻琴ちゃんをあそこのベンチに座らせることが大事だな。


そして、無事にベンチに座らせることができたはいいけど、なかなか壊れたままで麻琴ちゃんが治らない。なんか、さっきから、デート……可愛いとかそんなことばっかり連呼している。

それから、数分たって、やっと復活した麻琴ちゃんであった。


そして、今現在、俺は、麻琴ちゃんとショッピングモールの一階にいる。

あのあと、どうにか説得して、ショッピングモールに行くことになった。……でも、未だにデートって言い張っているけど。

「そういえば、買い物ってなにか買いたいものがあるの?」

「いや、別にないけど。あ、でも、久しぶりに佑樹くんとゲームで遊びたいかも」

「そう。じゃあ、ゲーセンにでも行くか」

「あ!でも、ちょっとだけ服見ていかない?」

「?別にいいけど」

「やった!じゃあ、早速行くよ!」

「うん」

これは、最近わかったことだけど、麻琴ちゃんは、なにか自分のテンションが上がることがあると行動が幼くなるということが。

そして、ゲーセンと聞いて俺は、麻琴ちゃんと出会った時のことを思い出した。

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