第2話:黒
世界から色が抜けていくような・・・錯覚かな
ユウキ「夕焼けの浜辺で人影がある構図なんていいかもね」
カズハ「それなら描きやすいかな」
ユウキ「一応スマホで撮っておこうか?」
カズハ「うん、イメージだけなら使えるからね」
距離を取ってお互いに写真を取り合う
ユウキ「やっぱりスマホのカメラだと空がボケるね」
カズハ「また撮りにくればいいよ」
茜色に染まった空間で屈託なく笑うカズハに見とれていた。
次の日の放課後、部室で
カズハ「今週末、市の美術館で絵の展覧会がやっているの見に行かない?」
ユウキ「え?今週末か・・・予定ないからいいけど・・・入場料は?」
カズハ「1000円くらいだったと思うけど、なんなら私が出すよ」
ユウキ「1000円ならいいよ、今月残りが少ないから」
カズハ「そうか、ごめん」
ユウキ「たまには色々な絵も見たいし」
カズハ「美術館の裏が森林公園になってるからカメラもってさ」
ユウキ「あ、そうだった、助かるよ」
そんな会話をしながらスケッチブックをひらいて
カズハ「今は何描いてるの?」
ユウキ「笑わない?」
カズハ「う~ん」
ユウキ「ははは、まあいいや、女性の背中なんだけど・・・なかなかエロく描けない」
カズハ「へ~」
横からスケッチブックをのぞき込んでくる
肩が触れて、匂いを感じる距離にカズハがいる・・・髪の黒が瑞々しい・・・
カズハ「けっこういい感じにかけてるじゃん」
そう言いながら振り返る、鼻先が触れそうな距離にカズハがいる
ユウキ/カズハ「・・・・・・」
カズハが後ろに身を引いて
カズハ「ゴメン、近いね」
顔を紅く染めて笑っている
ユウキ「ははは・・・」
力なく笑い返すのが精一杯だった
カズハ「もう少し腰のラインにアクセントをつけて胸とおしりに丸みをつけて・・・影を足してみたら?」
ユウキ「う~ん、やってみるよ、ありがとう。」
カズハ「私もデッサンしてみようかな、最近かいてなかったからな~」
ユウキ「そうなんだ」
カズハ「水彩メインで描いてたからね・・・」
ユウキ「そういえばカズハはイラストとかかいたりする?」
カズハ「ん?描いたことないかな・・・」
ユウキ「ネットでみてたらイラストコンテストがあって、賞金が設定されててさ」
カズハ「へ~」
ユウキ「でも、そのテーマがキモオタ系御用達の女子キャラらしくてさ」
カズハ「ないわ~」
ユウキ「ははは、だよね。まあそれで、イラストレーターのコメントがあって、デッサンがうまい人はイラストが描けないって話がのっていてさ、納得したよ」
カズハ「そう?」
ユウキ「目の大きなキャラクターとかバランスが気持ち悪くてかけないし」
カズハ「ああ・・・なるほど、確かにムリだわ・・・」
ユウキ「でも商用的に考えると最終的にそっちにシフトする人もいるらしいからね」
カズハ「うん、それはちょっと考えてる」
ユウキ「でもパソコンでイラストソフトつかって、ペンタブで絵を描いてるらしいから、今はないかな・・・」
カズハ「そうなんだ・・・調べてみようかな」
ユウキ「あれ?週末って明日?」
カズハ「あ、そうだね、土曜日でいい?」
ユウキ「ははは、まあいいか。午後からでいい?」
カズハ「じゃあ・・・13:00に(***)駅集合で」
ユウキ「了解」
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