長編小説『飛鳥』の外伝。この物語が先でも、本編を読んでからでも十分に楽しむことができる。小生のお勧めは本編を先に読む方。何故ならそうした方がキャラクターに感情移入しやすかったからだ。
本編の話は本編を読んでからするとして、ここでは『天上の花』という意味深な題名を持つ外伝の話をする。題名にもなっている「天上の花」は、読み始めてから終わるまで、この物語の象徴的な部分を担っている。青年のシュラの一人称で物語は展開される。シュラの前に現れた美少女は、素性が分からず、何日も食べ物を食べないなどの理由から、神から授かった少女なのか、それとも悪しき者なのかという疑念をもたらす。本文中に出てくるように、「美しいものが善とは限らない」のだ。しかも、この少女は身ごもっていて、特殊な能力もあった。少女はやがて子を産むのだが――。
民族学的な神話に彩られた、優しいファンタジーがここにある!
本編と合わせて、どうぞご覧下さい。