第93話 閑話 サンタ88 前編

クリスマスに間に合わなかった・・・

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「サンタが来る?」


忘年会クリスマスの準備をしていた俺にジャック―ランタンの黒い三連星のリーダー、オルテガが念話で訴える。

この世界にクリスマスと「いう行事はないが、サンタは居るらしい。

まぁ、ハロウィンのジャックオーランタンがいるんだからサンタがいても不思議じゃないか。

え?この世界のサンタは身勝手な正義を振りかざす迷惑な奴だって?

どうやら問答無用でダンジョンを攻撃するヤバイやつらしい。迎撃準備をする筆余があるのか。めんどくさいな。


十頭近い真っ黒な体躯のオオカミ「ダークウルフ」が森林を走っていた。

しかし、不意にその隊列が崩れる。

そのうちの一頭が上空に視線を上げる。


『左上空サンタ。回避せよ回避せよ』


上空に視線を上げたダークウルフが周囲の仲間に警告を飛ばす。


タタン、タタタタタタン。


数十発のマジックミサイルが上空から降りそそぎダークウルフの身体を貫く。

ギャンと悲鳴を上げ倒れていくダークウルフ。

ダンジョンと違ってダークウルフが消えることはない。

やがて上空から赤い鼻のトナカイに曳かれたソリがマジックミサイルをバラ撒きながらダイブしてきて、一転急上昇していく。


「サンタ88管制塔。チュウカナ大陸南部。ポイントC3P0よりスタンピートのダークウルフが北上中。

こちらサンタ・ケルケロ隊カズマ・・・ち、聞こえているのにダンマリかい?毎度のことながら嫌になる」


白いボンボンの付いた赤いナイトキャップに赤い服を着た片目隠れの男は小さく舌打ちする。


「あとで聞いてないとかふざけたことを抜かすなよ!」


カズマはトナカイを操作しながらマジックミサイルの呪文を唱える。


タタン、タタタタタタン。


再び数十発のマジックミサイルが上空から降りそそぎ、ダークウルフの身体を貫く。


「ふっ。ざっと金貨6枚(青銅貨60万枚)は稼いだな」


地表に動く影の無いのを確認したカズマはソリを北へ向ける。

やがてソリは真っ白な大地に向かって降下を始める。

大地にはS88と書かれた文字が見える。


「進入角度30度。ソリ仰角3度。ソリのフライ魔法解除。着陸開始」


カズマはソリを巧みに操り高度を下げる。

ザクっという雪を踏みしめる音とともにトナカイが地表に着地する。

ソリがざっという音とともに雪原を滑走していく。


ウーーーーーウ---


不意に目の前の建物からけたたましいサイレンが鳴り響く。

カズマはソリを脇に避けつつ空を見る。

空には煙を吐きながら降下してくる2台のソリが降りてきている。

まず派手に煙を吐いている1台が滑走路を滑るように降りた。

杖を持ち黒いローブを着た男たちがソリに近づき煙目掛けて水魔法を放つ。


「あちー!おいトナカイを替えてくれ。もう一度行ってくらぁ。スタンピートで溢れたゴブリンがウジャウジャ居やがる」


ソリから頭から血を流す髭ダルマが飛び出して来る。


「おーい爺さんマーコイ爺さん!!」


髭ダルマに呼ばれた白いローブの老人がやってきて髭ダルマに回復魔法をかける。


「ゴブリンアーチャーが居やがった。爺さん青ポくれ」


「あいよ」


髭ダルマは白いローブの老人から青い色の液体の瓶。MP回復薬を受け取るとコルク栓を歯で開け腰に手を当ててグビグビと飲み干す。


「かぁ染みるなコ〇ラより効く、げぷっ」


髭ダルマは派手にげっぷをする。


「はっ命は大切にするんだな」


「大事に使えば一生使えるしな」


白いローブの老人の言葉に髭ダルマは笑って応える。

と、2台目のソリが降りてきた。

煙は自然鎮火したのか出ていないが・・・

トナカイが地面に着地した途端にばきっと木の砕ける音がしてソリがつんのめり横転する。


「なにやってんだバク。この下手くそが」


横転したソリからでて来たのっぽに髭ダルマが笑う。


「ああ、バクお前のソリはもう使えねよ」


ソリを見ていた黒いローブの男が気の毒そうにのっぽに告げる。


「マジかぁ!買ってまだ1月も経ってねえのに」


のっぽは頭を抱える。


「バカが身体よりソリを大事にしな」


「うるせぇこの髭ダルマ!」


髭ダルマの煽りにのっぽが叫ぶ。


「じゃあな行ってくる」


髭ダルマはソリに乗ると、豪快に手綱を引くとシャンという鈴の音が鳴り響き、トナカイが走り出した。


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はい戦場物の名作エ〇ア88のパロです。後編に続く・・・

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