第67話ギルド関係者らしいお仕事をする マリーにちょっとしたアドバイス その2


とりあえず自分の執務室に彼女を招待し、自分も転移者であること、他に奥さんと娘も来ていることを告げる。

一応、アメリカ大統領の名前とか、有名な漫画や映画、都市の名前とか向こうでの常識にズレがないかきちんとチェック。


まずマリー・スパローというのは、まんま彼女の本名だった。

アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身の高校生16歳。

今年、私立万梨阿学園うちに交換留学で来ていたが、地震のあったあの日に、この世界に落ちてきたらしい。


で、彼女の前置かれたテーブルの上にある冒険者ギルドカードには・・・


名前 マリー・スパロー

性別 女

年齢 16歳

種族 人間

総合レベル 5

職  戦士


賞罰 なし

称号

冒険者レベル 無色

???

スキル:大陸共通言語、剣術、槍術、盾術、筋力強化、???


改めてみると、ステータスやスキルは高かったけどよく今まで生き残って来れたなって思うレベルだ。


「落ちたときに左足と右手の骨を折りまして、最近まで落ちた村で療養してました」


そのことを彼女に尋ねたらこう言われた。申し訳ない。


「お陰で大天使さまからは色々とこの世界の事を教えて貰えたんですけどね」


マリーはニッコリと笑う。

なるほど、神様たちはその辺は臨機応変に対応したんだな。グッジョブだ。

とりあえず彼女の無事を向こうに報せた方がいいのかな?メールは入れておくか。


「冒険者ギルドに登録に来たということは、治療費の金策かい?」


「いえ、治療費は私がこっちの世界に一緒に持っていた、特にポテチ一袋とコークが高く売れて全部で金貨10枚(青銅貨100枚)に・・・」


おいおい学校にお菓子を持ち込んだらダメだろ・・・お陰で奴隷落ちしなかったのは良かったが・・・

とりあえず、食べ物以外の彼女の私物が市場に出るようなら手を回しておくか。


「ただ、生活するには稼がないといけないようなので」


マリーはコリコリと頬をかく。


「既にこの世界に、生活基盤を作った先達からのアドバイスだけど聞く?」


と、水を向けると、マリーはコクコク頷く。

なので・・・


まず採取系のクエで日銭を稼ぐことを勧める。

採取というのは、野外の植生を知るのに一番手っ取り早い。

植生を知れば、それを餌とする草食系の魔物の生息範囲を知る。

草食系の魔物の生息範囲を知れば、それを餌とする肉食系の魔物の生息範囲を知ることができる。

生息域を外れた魔物を見た襲われたというのは


冒険者ギルドにも植生や生息域を示す地図は存在するのだが、如何せん縮尺が大雑把だ。


なにより遭難したときに、食べれる植物や傷の回復を促す草を知ってるというのは大きい。

俺は鑑定スキルはあるが、定期的にギルド周辺の森のフィールドワークはやっている。

王都ギルドから課せられてる薬草採取のノルマの為じゃないぞ。本当だ。

そっちはラージアントがやっている。


で、採取してるとそこそこの確率で草食系の魔物と遭遇するから、手に負えるなら狩る。

一角兎は、毛皮が防具の裏地、角は装飾や薬、肉は食用と換金効率が高いのでお勧め。

ボア系は反撃されると危険なので自信がつくまではスルー。

ただ、草食系の魔物がいる場合は近くに肉食系の魔物もいる可能性があるので索敵は怠らないように。


武器と防具の講義は・・・それ、神様、もとい天使さまご謹製なの?でもビキニ鎧のうえにローブを羽織ろうな。

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