第62話地竜来たりて その1
「ダンジョンに地竜が侵入したらしい。いまから行ってくる」
「「え?」」
嫁さんと娘がハモる。
嫁さんの「ゲートスキル取ったの?」の質問には「取った」と答える。
でも今回は先日ダンジョンコアのレベルアップで取れた
ちなみに罠床には状態異常を喰らうピット、一方方向に移動するムーブ、下階に落とされるシュート、別の場所に飛ばされるテレポートがある。
さらにピットには物理以外に麻痺、毒、睡眠、不動。ムーブには移動以外に回転の派生効果がある。
いま裏ダンジョンを地下6階から地下20階の上級・最上級ダンジョンへと増築していて、これらの罠が活躍する予定だ。
「え?ここ、王都よね?
娘が小首を傾げる。
あれ?ラージアントの坑道を通じて、店の地下2階とかスライム箱の底がダンジョンと繋がっているのを説明していなかったけ?
「とにかく行ってみる」
ひらひらと手を振って地下2階に続く唯一の階段を降りていく。
壁の一部を横にスライドさせて隠し部屋に入る。
罠なので、違和感は眼に入る光景が一瞬で変わるぐらい。
「お手数をおかけします。申し訳ありません」
オールバックの白髪にカイゼル髭。黒いスーツというお約束な執事姿の
「裏ダンジョンの魔素に惹かれてやってきた
最近立派な装飾が施されるようになった肘掛付きの椅子に立つと、眼前に画像が立ち上がる。
画像には、体長4メートルほどの地を這う4つ足のトカゲの爬虫類がいた。
この世界の地竜は、ドラゴンや龍といったファンタジー界の系統ではなく、恐竜系統の生物。
実際とは違い、すべての恐竜が雑食で地竜からの進化先がアイテム進化を含め横に多いのが特徴。
具体的には食べ物を肉食に寄せると肉食の恐竜2種類に、草食に寄せると草食の恐竜3種類に、アイテムで翼竜・海竜2種類に進化する。
なぜここまで詳しいか?というと、恐竜を新しいモンスターとして創ろうとしたら既にいますって言われたからだ。
どうやらこの世界。OBの作家先生の小説世界以外にも幾つかの世界が複製されていて、そういった世界の情報は直接調べないと利用ができない仕組みになってる。
過去に異世界から転移してきた人間がそれなりに居たって聞いたときに、その可能性に気付くべきだったよ。
なお、これら情報のないモンスターやアイテムは、鑑定すると
「地竜の生死は問いませんが、できるだけ無傷で手に入れてください」
肘掛付きの椅子の後ろにあった
俺は「了解」と短く応える。
腕の一本ぐらいなら塵にしても問題はないが、脳や心臓といった重要な器官まで喪失させられると
恐竜の食性が雑食って時点で、外見は同じでも内臓の構図とかが違うのだろう。
あれ?俺、ラージアントやハンタースパイダーの内臓とか設定した記憶ないぞ?
「マスター?」
思考の底に落ちそうになった俺を
「ああ、すまない。行ってくる。トラップスパイダー来い」
3匹の巨大ジョロウグモを引き連れて
グルルル
俺と視線を合わせた地竜が唸り声を上げる。
進行方向からして地下4階への道を迷うことなく進んでいる。恐るべし野生の感。
「トラップの用意を」
巨大ジョロウグモに命令するとそそくさと天井に駆け上がりダンジョンの奥へ。
俺はすかさず地竜を鑑定。
名前 地竜
性別 雌
年齢 15
種族 竜
総合レベル 50
職 なし
レベルが高い。強いな。
見た目はまんまコモドオオトカゲ。雌ということは単為生殖で増える。やったね。
攻撃スキルは冒険者ギルドに残る情報から、太い尾による振り払い。強い顎による咬みつき。咬みついたときに付与される毒。
別名「僧侶殺し」。
地竜咬みつき攻撃で負った傷を、僧侶が
これは地竜が、コモドオオトカゲの攻撃特性を引っ張っているからだろう。
コモドオオトカゲの口中には7種類以上の腐敗菌が増殖している。
これにノコギリ状の歯の間にある複数の毒管から失血によるショック状態を引き起こす毒が分泌される。
負傷者の状態が鑑定できても、この時点で判る異常は毒だけ。
でも、対処方法はいたって簡単。咬まれる前に地竜に生活魔法の
これは、ゾンビやグールといった腐敗系アンデット、病気を媒介するバット系ラット系ドック系にも有効だ。
「
速攻で地竜を洗浄。咬まれるつもりはないが保険は必要だ。
「いざ参る」
棍を構え地竜に対峙する。
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