第61話ヤエの近況
暫く学園編と言ったがあれはウソだ。続けようが・・・
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阿久井八恵です。こちらの世界ではヤエ・メディチ。
緑色の瞳に赤みの強い金髪ショート。
明るい灰色の肌に短めの笹穂状の耳をもつハーフダークエルフと呼ばれる種族の少女やってます。
わたしが入学したホッキョウ学園は、劉国の王都にある学術から職技まで、あらゆることを教える総合学校です。
当初の目的は、わたしが
なぜなら、教会の門を潜るときに冒険者ギルドを通した方が都合がいいからです。
で、ホッキョウ学園ですが、まず入学式がありません。
入学試験が不定期に行われるのだから当然だけどね。
一番多いのは13歳の子供が4月から5月に学園に入学。
ある程度の数の座学、実技を修めて、成人と認められる16歳の2月から3月に卒業するパターン。
座学は国語(大陸共通語)、算数、歴史、魔物学の基礎科目。
これに
貴族が家庭教師を雇って教えるような宮廷作法や舞踏会で踊るダンスを学ぶ宮廷学なんてものもあります。
神学や治癒の技術、治癒の魔法関係は教会で教えてくれます。
授業は・・・
朝9時始業
初心者、初級、中級、上級、特級の問題が各10問計50問が教官によって黒板にかかれます。
初心者は幼稚園。初級は小学校。中級は中学校。上級は高等学校。特級は大学といった感じ。
16歳の成人を過ぎても簡単な文字しか書けない人、簡単な文字しか読めない人というのはそこそこいるのでこの区分は必要だったりします。
生徒は黒板に書かれた自身が所属するクラスの問題を解いて、解いた生徒から退室が可能。
9時40分から50分の間、教官による問題の解説と生徒からの質問時間。
9時50分から10時までの間、休憩時間。
これを7回。16時まで繰り返して終業となります。
なお、授業中に自身より上のクラスの問題を5問以上、解いて正解するとクラスの卒業試験が受けられます。
生徒は卒業試験に合格すればいいので、実力のある人はどんどん飛び級していきます。
実技も基本は変わりません。
最初の10分、教官からその日に教えられる剣の型や呪文がクラスごとに教示され、40分間ひたすら上のクラスの生徒と実技。
座学と違うのは、実戦の最中に教官または上のクラスの生徒に指導してもらえることです。
ちなみにわたしは、スキル
スキルは何らかの手段で阻害されるというのは学習済みです。
しかしそれ以上に問題だったのが、魔法の書を
原因はすぐに判りました。スキルの同時使用。普通に考えても無理ゲーというやつです。
レベルが上がれば行けるかもしれませんが・・・
それに、いちいち辞書を引いて呪文を行使したり会話したりするのも不自然ですしね。
わたしの成績は、国語はスキル大陸共通語のお陰か中級。算数は算術Lv.7のお陰か特級。それ以外は初級。
なので今日も朝一から真面目にお勉強です。
「ヤエおはよう」
身長は160センチぐらい。腰まである灰色の髪に黒い瞳のカッコイイ系お嬢さん。
マッサチン公国のデレラ侯爵家シンさまが気軽にご挨拶。
「ヤエさんおはようございます」
続いて身長は155センチぐらい。オレンジ色の髪に茶色の瞳の少女。
王都でも有数な商家『赤蜻蛉』の令嬢マリ・アキアカネさんがご挨拶。
「おはようございます。シンさん、マリさん」
こちらもスカートの端を摘まんでご挨拶。
マリさんとは、ギルドで受けた試験が原因で険悪な仲になりかけましたが、入学した日に再会したときはマリさんのほうから仲直りを切り出されました。
どうやら、わたしが所属する毘沙門がどういうモノなのか彼女なりに調べ、仲よくすべきと結論を出したようです。
昨日彼女から、遠回しに魔法灯のデザインがしたいなぁと言われましたから・・・
「聞きましたよヤエさん。毘沙門の王都店が今日開店するそうですね」
マリさんいい笑顔です。実にいい笑顔です。
シンさんの笑顔も実にいい笑顔です。何故でしょう?
「
シンさんどちらかというと脳筋な方なので、珍しい武器とか防具に興味があるようです。
おそらくマリさんに焚きつけられたのでしょう。
「商業ギルドでお聞きになられたのでしょうか?」
お二方とも頷きます。
「お二方を店にご招待しますが、ご返事は明日までお待ちください」
「明日ですか?」
マリさんが首を傾げます。
「初日は間違いなく忙しいと思います。それに、ユウさんはギルドマスターとしての仕事がありますから」
「ユウさん?」
シンさんが首を傾げます。
マリさんとシンさんの見事なまでの
「義母と呼ぶと怒るんですよ」
「「ああ」」
ポンと手を叩くお二方。
これ、わたしがお父さんお母さんと呼ぶと、二人が変な反応する可能性があるから名前呼びにしたんだけどね。
「どうせなら、製作者・・・ユウさんに直接お会いできた方がよろしいでしょ?」
お二方はこの日最大のシンクロ率を見せました。
「近況を聞こうと言ったけど、本当に近況だね」
嫁さんが苦笑いをする。
「いいよ。明日連れておいで」
俺も苦笑い。
『マスター。緊急事態です。裏ダンジョンに地竜が侵入しました』
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