第44話SIDEヤエ ここは王立北京学園~入試その4~
「勝負はヤエさんの勝ちです」
戻ってきた玉藻さんはそう宣言すると、マリさんに一枚の羊皮紙を渡します。
羊皮紙は私が問題を書いたヤツですね・・・
羊皮紙を読んだマリさんの顔がみるみるうちに赤くなります。
「ヤエさんの作った問題を解けますか?」
玉藻さんの顔が悪いです。
解けるものなら解いてみなさいという顔だ。
でも、マリさんの強気そうな性格だと、問題をすり替えたと騒ぎそうなものだけど・・・
「王都ギルドのギルドマスターが難問認定する問題が解けるとは思いません」
淑女らしからぬ歯軋りの音が響きます。
というか、王都ギルドのギルドマスターが難問認定する問題って何でしょう?
時間さえかければ中学生でも解ける問題のハズなんですけど。
「ユウさんの義娘さんとお聞きしてたので期待はしてたんですよ。いや、算術に造詣が深いとは」
にこにこしながら玉藻さんは一枚の紙を差し出してきました。
紙には王都の冒険者ギルドのギルドマスター
「詳しくはギルドマスタースコッチから説明させていただきます」
玉藻さんは満面の笑みを浮かべちましたが目が笑っていませんでした。
「ヤエ殿に冒険者ギルドと商業ギルドからの
目の前の恰幅のいい白髪の人間。王都の商業ギルドのギルドマスターであるスコッチさんから手渡されたのはホッキョウ学園への推薦状でした。
スコッチさんによると、王都ギルドには自国の劉国と宗主国であるソウキ皇国の二つの国から課せられた
それは若くて優秀な民間の人材を学校に推薦入学させること。
これは、ソウキ皇国やマッサチン公国にある首都ギルドにも同じ
これは官民交流というよりは、学園に通う貴族の子弟を奮起させるためのカンフル剤。
そしてマラソンで言うところのペースメーカーの役割を期待しているということ。
期間は最低でも3か月。無論、学生が卒業にまで要する最大である3年間通っても学費と報酬は一緒にギルドが出してくれるらしいです。
いままで王都ギルドでは、武術や魔術の優秀な冒険者を送り込んでいたのですが、期待できる成果は出ていないそうで・・・
でも今回は違うようです。既に貴族であるシンさんには知られ、マリさんにはライバル視されているのは大きいということ。
「わたし、スキルの習得に」
「
「えっと、家族と相談しても?」
「してくれ。というか無理強いをしてファミリー『毘沙門』のマスターの機嫌を損ねるような事はできん」
スコッチさんの言葉に思わず苦笑いです。
ファミリー『毘沙門』の店が商業ギルドに売り上げの面で大貢献していることは知っていましたが、ちょっと大げさだと思います。
「ご返事はいつまでに?」
「今日、一緒に試験を受けた二人の入学が来週なのでその二日までには欲しいな」
「判りました」
とりあえずその日の返事は保留。後日正式に
追伸。毛利さんがうちのファミリーに仮所属することになりました。
追追伸。毛利さん無精ひげのひょろいという感じのお兄さんではありませんでした。
背は高いけど綺麗なお姉さんでした。
でも本当に女性なのかは未だに信じてはいません。幻術恐るべし・・・
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