第43話SIDEヤエ ここは王立北京学園~入試その3~
け、計算式間違ってないよね・・・
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マリさんがいう勝負とは、お互いに3問の計算問題を出し合って、正解率と解くのにかかった時間を競うというものです。
権力者の身内に絡まれたのを無視するのは良くないので仕方なく問題を作ります。
羊皮紙の一枚目には・・・書きにくいなぁ。
1.2から15まで足したらいくつになるか。
2.ある細工師が銅貨5枚で買った剣の柄を加工して売ったら銅貨7枚で売れた。しかし気になる箇所が見つかったので売った剣を銅貨8枚で買い戻した。
そうして気になる箇所を直してイイ感じの鞘をつけて売ったら銀貨1枚で売れた。細工師の儲けはいくら。
3.ゴブリンとグレイウルフが合わせて30匹の敵がいます。足の数は合わせて96本。ゴブリンと犬の数を求めよ。
ただしゴブリンの足は2本。グレイウルフの足は4本とする。
羊皮紙の二枚目には答えと解説。
1番目は一見すれば簡単な足し算。ですが(最初の数+最後の数)×足す数字の数÷2を知っていれば簡単に出せます。
この場合(2+15)×14÷2=119
2番目は文章による引っ掛け問題。
銅貨5枚の剣と銅貨8枚の剣を買ってそれぞれ銅貨7枚と銀貨1枚(銅貨10枚)で売ったのだと気付けば儲けは銅貨4枚だと判ります。
3番目はいわゆる
ふたつの式のxとyの数字が同じ場合、ゴブリンxグレイウルフyとして次の式で表せます。
x+y=30 ・・・1すべての敵の数
2x+4y=96 ・・・2すべての敵の足の数
ふたつの式のxを揃えると
x+y=30
x+2y=48
1の式のxをyに変換すると
x=30-y
あとは2の式のxに1の式を代入
30-y2y=48
y=48-30=18
yが解ければ1の式のyに代入
x+18=30
x=12
よって正解はゴブリン12匹グレイウルフ18匹。
「これでお願いします」
問題と答えを羊皮紙に書いて玉藻さんに渡します。
同時にマリさんも完成させたらしく私より少し早く問題と答えをかいた羊皮紙を玉藻さんに渡していました。
「うんうん」
マリさんの問題を玉藻さんは嬉しそうにチェックしています。
どうやらお気に召したよう。
そして私の問題を見て、検算しているようで・・・あ、固まりました。
口が胡桃割り人形のようにパクパクしてます。怖すぎ。
「この勝負私の手に余ります。暫し休憩」
玉藻さんはがばっと立ち上がると、ふんすふんすを言いながら部屋から・・・あ、戻ってきた。
「あ、他の方はお手数ですが、ふたりが会話しないよう見張ってくださいね」
今度こそ部屋から出ていきます。
「やぁ」
黒髪黒瞳の無精ひげのひょろいという感じのお兄さん毛利輝さんが声を掛けてきた。
よく見るとアニメ、ル○ン三世の相棒の石川五ェ門に似てますね。こちらは髪を高い位置でポニーテールにしてますが。
「ヤエ・メディチさんってワ国の人?それともお師さんがワ国の人?」
毛利さんいきなりです。
でもタネが明かされると簡単で、体力試験で私が使っていた拳技と蹴技スキルが理由でした。
私の拳技と蹴技は、ワ国東部の領主である弐本家が抱える剣術指南役の柳牛宗矩さんが興した真陰流という剣術。
その剣術の中に組み込まれている体術なのだそうです。
滞在期間が短く、基礎を教えて貰った程度の見習いだったのでそこまで知りませんでした。
「真陰流は一子相伝だったり門外不出といった技術ではないのですが、誰でも習える技ではないのです。誰に習いましたか?」
毛利さん爽やかに言ってますが、目が怖いです。
というか、誰でも習える技ではないとか信じられません。
基礎は割と簡単覚えられたのですが・・・
「一か月ほどワ国でお世話になっていた柳牛道場で、門下生の
半年も経ってないのに懐かしいです。
そういえば
「なるほどなるほど。では貴女は某の同門の妹弟子ということになりますね」
そういって毛利さんは、腰の剣をいえ刀を鞘ごと僅かに抜いて鍔を見せてくれます。
鍔には、柳牛笠という柳牛道場でよく見た家紋が透かし彫りされていました。
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